流体の流動特性と流動曲線 88回薬剤師国家試験問169

88回薬剤師国家試験 問169
流体I、U、Vの流動特性を測定し、下図の流動曲線を得た。その結果に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。

 

流体の流動特性と流動曲線 88回薬剤師国家試験問169

 

a 流体Iの流動曲線 @ は、測定温度を高くすると傾きが大きくなる。
b 流動曲線 A を示す流体Uは、降伏値(f)より小さいせん断応力においては見かけ上、ニュートン流体として挙動する。
c 流動曲線 B を示す流体Vの見かけの粘度は、せん断応力の増加に伴って大きくなる。

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88回薬剤師国家試験 問169 解答解説

 

◆ aについて
流体の流動特性と流動曲線 88回薬剤師国家試験問169

 

a 〇 流体Iの流動曲線 @ は、測定温度を高くすると傾きが大きくなる。

 

流体Iの流動曲線 @ は、
原点を通る直線であるためニュートン流動のものである。
ニュートン流動の直線の傾きは粘度の逆数(1/η:流動率)に等しい。

 

測定温度を高くすると粘度(η)は低下するため、
ニュートン流動の直線の傾き(1/η)は大きくなる。

 

ニュートン流動については下記のリンク先を参照
ニュートン流動のレオグラム 91回問171a

 

 

◆ bについて
流体の流動特性と流動曲線 88回薬剤師国家試験問169

 

b × 流動曲線 A を示す流体Uは、降伏値(f)より小さいせん断応力においては見かけ上、ニュートン流体として挙動する。
→ 〇 流動曲線 A を示す流体Uは、降伏値(f)より大きいせん断応力においては見かけ上、ニュートン流体として挙動する。

 

流体Uの流動曲線 A は、
降伏値があり、かつ、直線であることから、
塑性流動(ビンガム流動)のものである。
塑性流動(ビンガム流動)では、せん断応力が降伏値未満だと流動は起こらず、せん断応力が降伏値を超えると見かけ上ニュートン流体として挙動し、そのレオグラムは直線を描く。

 

塑性流動については下記のリンク先を参照
塑性流動(ビンガム流動)のレオグラム 91回問171b

 

 

◆ cについて
流体の流動特性と流動曲線 88回薬剤師国家試験問169

 

c 〇 流動曲線 B を示す流体Vの見かけの粘度は、せん断応力の増加に伴って大きくなる。

 

流体Vの流動曲線 B は、
せん断応力が大きくなるほど傾きが小さくなる曲線であることから、
ダイラタント流動のものである。
ダイラタント流動では、せん断応力の増加とともに粘度は増加することを示す。

 

ダイラタント流動については下記のリンク先を参照
ダイラタント流動のレオグラムと粘度 91回問171c

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