動粘度・相対粘度・比粘度・還元粘度の計算 107回薬剤師国家試験問279

107回薬剤師国家試験 問279
イオパミドール注射液には以下の3種類のバイアル製剤がある。これら注射剤の粘度に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
ただし、37 ℃における水の粘度0.70 mPa・s とする。

 

相対粘度・比粘度・還元粘度 107回薬剤師国家試験問279

 

1 製剤Aの動粘度は、製剤Bの動粘度より小さい。
2 製剤Bの相対粘度は、製剤Cの相対粘度より小さい。
3 製剤Cの比粘度は、製剤Bの比粘度より小さい。
4 いずれの製剤も、イオン性造影剤に比べて高粘度のため、組織障害性が低減されている。
5 製剤Cの還元粘度は、製剤Bの還元粘度より小さい。

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107回薬剤師国家試験 問279

 

相対粘度・比粘度・還元粘度 107回薬剤師国家試験問279

 

◆ 1について
1 〇 製剤Aの動粘度は、製剤Bの動粘度より小さい。

 

動粘度(ν:ニュー)とは、絶対粘度(η:イータ)を同温度のその液体の密度で除した値である。
製剤AおよびBの動粘度は次のように計算される。
Aの動粘度 = 粘度/密度
= (1.5 mPa・s)/( 1.171 kg・m−3)
= (1.5 mN・m−2 ・s)/( 1.171 kg・m−3)
= (1.5 mm・kg・s−2・m−2 ・s)/( 1.171 kg・m−3)
= 1.28 mm2・s−1

 

Bの動粘度 = 粘度/密度
= (4.4 mPa・s)/( 1.328 kg・m−3)
= (4.4 mN・m−2 ・s)/( 1.328 kg・m−3)
= (4.4 mm・kg・s−2・m−2 ・s)/( 1.328 kg・m−3)
= 3.31 mm2・s−1

 

以上より、
製剤Aの動粘度は、製剤Bの動粘度より小さい。

 

 

◆ 2について
2 〇 製剤Bの相対粘度は、製剤Cの相対粘度より小さい。

 

溶液の相対粘度とは、溶液の絶対粘度を溶媒の絶対粘度で除した値である。
製剤A〜Cの溶媒はいずれも水であり、その絶対粘度は0.70 mPa・sであるので、
製剤BおよびCの相対粘度は次のように計算される。

 

Bの相対粘度 = Bの絶対粘度/水の絶対粘度
       = (4.4 mPa・s)/( 0.70 mPa・s)
       = 6.29

 

Cの相対粘度 = Cの絶対粘度/水の絶対粘度
       = (9.1 mPa・s)/( 0.70 mPa・s)
       = 13.0

 

以上より、
製剤Bの相対粘度は、製剤Cの相対粘度より小さい。

 

 

◆ 3について
3 × 製剤Cの比粘度は、製剤Bの比粘度より小さい。

 

比粘度とは、溶液の相対粘度から1を引いた値である。
製剤BおよびCの比粘度は次のように計算される。

 

Bの比粘度 = Bの相対粘度 − 1
      = 6.29−1
      = 5.29

 

Cの比粘度 = Cの相対粘度 − 1
      = 13−1
      = 12

 

 

以上より、
製剤Cの比粘度は、製剤Bの比粘度より大きい。

 

 

◆ 4について
4 × いずれの製剤も、イオン性造影剤に比べて高粘度のため、組織障害性が低減されている。

 

イオパミドールは非イオン性造影剤であり、
イオン性造影剤に比べて、
低粘度・低浸透圧のため、組織障害性が低減されている。

 

 

◆ 5について
5 × 製剤Cの還元粘度は、製剤Bの還元粘度より小さい。

 

還元粘度とは、溶液の比粘度を濃度で除した値である。
製剤BおよびCの還元粘度は次のように計算される。

 

Bの還元粘度 = Bの比粘度/Bの濃度
       = (5.29 )/( 612.4 mg/mL)
       = 8.64×10−3mL/mg

 

Cの還元粘度 = Bの比粘度/Bの濃度
       = (13 )/( 755.2 mg/mL)
       = 15.9×10−3mL/mg

 

 

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107回問278,279(e-RECさん)

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