レオロジーに関する記述の正誤 90回薬剤師国家試験問171
90回薬剤師国家試験 問171
レオロジーに関する記述の正誤について、正しいものはどれか。
a 動粘度の単位は、mPa・sである。
b 毛細管粘度計の測定値からニュートン流体の動粘度を算出する場合、流体の密度の値を必要としない。
c ニュートン流体がチキソトロピーを示すことはない。
d ニュートン流体の流動曲線は温度の影響を受けないが、非ニュートン流体の流動曲線は温度の影響を受ける。
90回薬剤師国家試験 問171 解答解説
◆ aについて
a × 動粘度の単位は、mPa・sである。
→ 〇 動粘度の単位はm2・s−1またはmm2・s−1である。
粘度の単位はPa・s(パスカル秒)またはmPa・s(ミリパスカル秒)である。
粘度を同温度のその液体の密度で除した値を動粘度という。
動粘度の単位は下記のように求められる。
動粘度 = 粘度÷密度
= (Pa・s)/( kg・m−3)
= (N・m−2 ・s)/( kg・m−3)
= (m・kg・s−2・m−2 ・s)/( kg・m−3)
= m2・s−1
なお、日本薬局方では、通例、
動粘度の単位としてミリm2・s−1 (m m2・s−1)が用いられる。
関連問題
粘度の単位 88回問16b
◆ bについて
b 〇 毛細管粘度計の測定値からニュートン流体の動粘度を算出する場合、流体の密度の値を必要としない。
◆ cについて
c 〇 ニュートン流体がチキソトロピーを示すことはない。
ニュートン流体とは、下記のニュートンの粘性法則が成り立つ流体である。
S = η・D
S:せん断応力(ずり応力) D:せん断速度(ずり速度)
η:粘度(粘性係数)
この法則によると、ニュートン流体のレオグラムは原点を通る直線となる。
ニュートンの粘性法則が成り立たない流体は非ニュートン流体に分類される。
チキソトロピーを示す流体は非ニュートン流体となる。
ニュートン流体については下記のリンク先を参照
ニュートン流体のレオグラム・動粘度の単位 93回問172
チキソトロピーについては下記のリンク先を参照
チキソトロピー 91回問171d
◆ dについて
d × ニュートン流体の流動曲線は温度の影響を受けないが、非ニュートン流体の流動曲線は温度の影響を受ける。
ニュートン流体および非ニュートン流体のいずれも流動曲線は温度の影響を受ける。
一般に、温度が高いほど粘度は低くなるので、流動しやすくなる。