96回薬剤師国家試験問170 レオグラムとそれを示す流体の対応
96回薬剤師国家試験 問170
図a〜dは流体のレオグラムを示す。各レオグラムとそれを示す流体の対応のうち、正しいものはどれか。
96回薬剤師国家試験 問170 解答解説
正解は1である。
◆ aについて
aのように、降伏値をもち、かつ、直線となる流動を塑性流動(ビンガム流動)と呼ぶ。
塑性流動を示す流体として、軟膏,クリーム,シロップ,懸濁剤,チンク油などの濃厚な乳剤がある。
塑性流動(ビンガム流動)の詳細は下記のリンク先を参照
塑性流動(ビンガム流動)のレオグラム 91回問171b
◆ bについて
bのように、降伏値があり、かつ、下に凸の曲線となる流動を準(擬)塑性流動と呼ぶ。
これは、せん断応力の増加とともに粘性が低下し、流動しやすくなることを示す。
準(擬)塑性流動を示す流体として、
アルギン酸ナトリウムやメチルセルロース,カルメロースナトリウムなどの高分子の2〜3%水溶液が挙げられる。
なお、鎖状高分子は濃度によって異なるレオグラムを示し、
鎖状高分子の1%水溶液は準(擬)粘性流動を示すので注意する。
準(擬)粘性流動については下記のリンク先を参照
準(擬)粘性流動のレオグラム 92回問17c
◆ cについて
cのように、レオグラムが原点を通る直線となる流動はニュートン流動である。
ニュートン流動を示す流体として、
水、エタノール、グリセリンなどの純物質の液体や
低分子の溶液がある。
ニュートン流動の詳細は下記のリンク先を参照
ニュートン流動のレオグラム 91回問171a
◆ dについて
dのように、レオグラムが上に凸の曲線となる流動をダイラタント流動と呼ぶ。
ダイラタント流動を示す流体として、
粒子径の小さい非凝集性粒子を50%以上の高濃度で含む水性懸濁液があり、
例として60%デンプン水性懸濁液が挙げられる。
ダイラタント流動の詳細は下記のリンク先を参照
ダイラタント流動のレオグラムと粘度 91回問171c