粘性に関する記述 92回薬剤師国家試験問17
92回薬剤師国家試験 問17
粘性に関する記述のうち、正しいものはどれか。
a ニュートン流動では、ずり応力(S)、ずり速度(D)、粘度(η)の間にはS=ηDの関係が成立する。
b 純液体では、一般に温度が高いほど粘度は大きい。
c 準粘性流動では、ずり応力が増加すると粘度が減少する。
d ニュートン流動の代表的なものに、ダイラタント流動とチキソトロピーがある。
e ウベローデ型粘度計などの毛細管粘度計は、ニュートン流体の粘度測定に用いられる。
92回薬剤師国家試験 問17 解答解説
◆ aについて
a 〇 ニュートン流動では、ずり応力(S)、ずり速度(D)、粘度(η)の間にはS=ηDの関係が成立する。
詳細は下記のリンク先を参照
ニュートン流動のレオグラム 91回問171a
◆ bについて
b × 純液体では、一般に温度が高いほど粘度は大きい。
→ 〇 純液体では、一般に温度が高いほど粘度は小さい。
一般に、温度が上昇すると、分子の熱運動が激しくなり、分子間相互作用は弱まるので、粘度は低下する。
なお、液体の粘度と絶対温度の関係を表す式として、下記のアンドレード (Andrade) の式がある。
アンドレード式においても、絶対温度が高いほど粘度は低いことになる。
◆ cについて
c 〇 準粘性流動では、ずり応力が増加すると粘度が減少する。
準(擬)粘性流動とは、下の図で示す通り、
レオグラムが原点を通り、かつ、下に凸の曲線となる流動である。
これは、せん断応力(ずり応力)の増加とともに粘性が低下し、流動しやすくなることを示す。
準(擬)粘性流動を示す流体として、
アルギン酸ナトリウム,メチルセルロース,カルメロース,トラガント等の鎖状高分子の1%水溶液が挙げられる。
準(擬)粘性流動では、
せん断応力が大きくなるにつれ、鎖状高分子が流れの方向に沿って並ぶようになり、
これにより流体の抵抗が減少し、粘性が低下する。
なお、鎖状高分子は濃度によって異なるレオグラムを示し、
鎖状高分子の2〜3%水溶液は準(擬)塑性流動を示す。
準(擬)塑性流動の詳細は下記のリンク先を参照
準(擬)塑性流動のレオグラム
◆ dについて
d × ニュートン流動の代表的なものに、ダイラタント流動とチキソトロピーがある。
ニュートンの粘性の法則に従わない流動は非ニュートン流動に分類される。
ダイラタント流動とチキソトロピーは非ニュートン流動である。
◆ eについて
e 〇 ウベローデ型粘度計などの毛細管粘度計は、ニュートン流体の粘度測定に用いられる。
ウベローデ型粘度計,オストワルド型粘度計などの毛細管粘度計は、
ニュートン流体の粘度測定に用いられるが、非ニュートン流体の粘度測定には用いられない。
回転粘度計はニュートン流体と非ニュートン流体の粘度測定に用いられる。
関連問題
・オストワルド型粘度計の適する流体 94回問173d