レオロジーに関する記述 91回薬剤師国家試験問171

91回薬剤師国家試験 問171
レオロジーに関する記述のうち、正しいものはどれか。
a ニュートン流動では、粘度はせん断速度の増加に比例して増加する。
b 塑性流動には降伏値があり、この値より大きなせん断応力ではせん断速度に無関係に粘度は一定の値である。
c ダイラタント流動では、粘度はせん断速度の増加とともに減少する。
d チキソトロピーを示すものでは、流動曲線(レオグラム)の上昇曲線と下降曲線は同一とはならない。

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91回薬剤師国家試験 問171 解答解説

 

◆ aについて
a × ニュートン流動では、粘度はせん断速度の増加に比例して増加する。
→ 〇 ニュートン流動では、せん断速度およびせん断応力に関わらず粘度は一定である。

 

ニュートン流動のレオグラムは原点を通る直線となり、
傾きは粘度の逆数(1/η:流動率)に等しい。

 

レオロジーに関する記述のうち正しいもの 91回薬剤師国家試験問171

 

よって、
ニュートン流体では、せん断速度(D)およびせん断応力(S)に関わらず粘度(η)は一定である。
また、流体の粘度(η)が大きいほど、レオグラムの直線の傾き(1/η)は小さくなる。

 

詳細は下記のリンク先を参照
ニュートン流動のレオグラム 91回問171a

 

 

◆ bについて
b 〇 塑性流動には降伏値があり、この値より大きなせん断応力ではせん断速度に無関係に粘度は一定の値である。

 

塑性流動(ビンガム流動)では、せん断応力が降伏値未満だと流動は起こらず、せん断応力が降伏値を超えると見かけ上ニュートン流体として挙動し、そのレオグラムは直線を描く。

 

レオロジーに関する記述のうち正しいもの 91回薬剤師国家試験問171

 

したがって、
塑性流動では、せん断応力が降伏値以上の場合、
せん断速度(D)およびせん断応力(S)に関わらず粘度(η)は一定である。

 

詳細は下記のリンク先を参照
塑性流動(ビンガム流動)のレオグラム 91回問171b

 

 

◆ cについて
c × ダイラタント流動では、粘度はせん断速度の増加とともに減少する。
→ 〇 ダイラタント流動では、粘度はせん断速度の増加とともに増加する。

 

ダイラタント流動のレオグラムは、
せん断応力(S)またはせん断速度(D)が大きくなるほど傾きが小さくなる曲線となる。
これは、ダイラタント流動はせん断応力(S)またはせん断速度(D)の増加とともに粘度は増加することを示す。

 

レオロジーに関する記述のうち正しいもの 91回薬剤師国家試験問171

 

詳細は下記のリンク先を参照
ダイラタント流動のレオグラムと粘度 91回問171c

 

 

◆ dについて
d 〇 チキソトロピーを示すものでは、流動曲線(レオグラム)の上昇曲線と下降曲線は同一とはならない。

 

レオロジーに関する記述のうち正しいもの 91回薬剤師国家試験問171

 

チキソトロピーとは、せん断応力を加えることにより、網目構造の破壊と共に粘性が低下するが、その後せん断応力を加えるのを中止し静置しても、壊れた網目構造がすぐには修復せず、徐々に修復していくので、粘性の回復も徐々に行われる現象を指す。
チキソトロピーを示す流体の流動曲線(レオグラム)は、
せん断応力を加えてせん断速度が上がっていく時の上昇曲線と、
せん断応力を減少させてせん断速度が低下する時の下降曲線が同一とはならない。
このレオグラムの形をヒステリシスループと呼ぶ。

 

レオロジーに関する記述のうち正しいもの 91回薬剤師国家試験問171

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