ニュートン流体のレオグラム・動粘度 93回薬剤師国家試験問172

93回薬剤師国家試験 問172
粘度に関する記述の[ a ]〜[ c ]内に入れるべき語句の正しい組合せはどれか。
ニュートン流体について、せん断応力を横軸に、せん断速度を縦軸にプロットすると直線が得られ、その傾きの逆数は粘性係数あるいは[ a ]と呼ばれる。[ a ]を同温度のその液体の密度で除した値を[ b ]という。[ b ]の単位として、[ c ]が用いられる。

 

ニュートン流体のレオグラムと傾き 93回薬剤師国家試験問172

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93回薬剤師国家試験 問172 解答解説
正解は1である。
ニュートン流体について、せん断応力を横軸に、せん断速度を縦軸にプロットすると直線が得られ、その傾きの逆数は粘性係数あるいは[a:粘度]と呼ばれる。[a:粘度]を同温度のその液体の密度で除した値を[b:動粘度]という。[b:動粘度]の単位として、[c:m2・s−1]が用いられる。

 

ニュートン流体のレオグラムと傾き 93回薬剤師国家試験問172

 

以下、詳細

 

ニュートン流体とは、
次の@式で表されるニュートンの粘性法則が成り立つ流体のことである。
S = η・D …@
S:せん断応力(ずり応力) D:せん断速度(ずり速度)
η:粘度(粘性係数)

 

せん断応力(ずり応力)とは、液体の流れに平行な平面の単位面積あたりの内部摩擦力のことであり、F/Sで表されることもある。
せん断速度(ずり速度)とは、流れに垂直な方向の速度勾配である。
また、ニュートンの粘性法則が成り立つ流動をニュートン流動と呼ぶ。

 

@式は下記のA式に変換される。
D = (1/η)・S …A
S:せん断応力(ずり応力) D:せん断速度(ずり速度)
η:粘度(粘性係数)
A式における粘度の逆数(1/η)は流動率と呼ばれる。
縦軸にせん断速度D、横軸にせん断応力Sをプロットした図をレオグラムと呼ぶ。
A式より、ニュートン流体のレオグラムは原点を通る直線となり、
傾きは粘度の逆数(1/η:流動率)に等しい。

 

ニュートン流体のレオグラムと傾き 93回薬剤師国家試験問172

 

ニュートン流動を示す流体として、水、エタノール、グリセリンなどの純物質の液体や低分子の溶液がある。

 

粘度ηの単位はPa・s(パスカル秒)またはmPa・s(ミリパスカル秒)である。
粘度を同温度のその液体の密度で除した値を動粘度という。
動粘度の単位は下記のように求められる。
動粘度 = 粘度÷密度
= (Pa・s)/( kg・m−3)
= (N・m−2 ・s)/( kg・m−3)
= (m・kg・s−2・m−2 ・s)/( kg・m−3)
=  m2・s−1

 

なお、日本薬局方では、通例、
動粘度の単位としてミリm2・s−1 (m m2・s−1)が用いられる。

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