アミノ酸の等電点と等しいpHの水溶液中では電気泳動における移動度は最も小さい。 82回薬剤師国家試験問13d

第82回薬剤師国家試験 問13d
水溶液に関する次の記述の正誤を判定してみよう。

 

d アミノ酸の等電点と等しいpHの水溶液中では、そのアミノ酸の電気泳動における移動度は最も大きい。

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第82回薬剤師国家試験 問13d 解答解説

 

d × アミノ酸の等電点と等しいpHの水溶液中では、そのアミノ酸の電気泳動における移動度は最も大きい。
→ 〇 アミノ酸の等電点と等しいpHの水溶液中では、そのアミノ酸の電気泳動における移動度は最も小さい。

 

等電点とは、物質が見かけ上電荷を持たなくなるpHのことである。
pHがそのアミノ酸の等電点と等しい場合、そのアミノ酸は大部分が電荷0の化学種として存在し、見かけ上電荷を持たない。
電気泳動では、物質が帯びる電荷が大きいほど移動度が大きくなる。
したがって、電気泳動において、水溶液のpHがアミノ酸のpHと等しい時、そのアミノ酸はほとんどが電荷0の化学種となっているため、移動度は最も小さくなる。

 

酸性アミノ酸のアスパラギン酸と
塩基性アミノ酸のリシンの電気泳動を例に説明する。

 

◆ 緩衝液のpH=アスパラギン酸の等電点の時

 

アスパラギン酸の等電点(pI)は2.77である。
緩衝液のpHが2.77である時(pH=アスパラギン酸のpIの時)、
緩衝液に含まれる全てのアスパラギン酸分子において、
α炭素のカルボキシ基は陰イオン形、
側鎖のカルボキシ基は分子形、
アミノ基は陽イオン形となり、
見かけ上電荷を持たないため(実効電荷0)、
陰極にも陽極にも泳動されない(電気泳動移動度は0)。

 

アミノ酸の等電点と等しいpHの水溶液中での電気泳動の移動度 82回薬剤師国家試験問13d

 

 

◆ 緩衝液のpH=リシンの等電点の時

 

リシンの等電点(pI)は9.75である。
緩衝液のpHが9.75である時(pH=リシンのpIの時)、
緩衝液に含まれる全てのリシン分子において、
α炭素のカルボキシ基は陰イオン形、
α炭素のアミノ基は分子形、
アミノ基は陽イオン形となり、
見かけ上電荷を持たないため(実効電荷0)、
陰極にも陽極にも泳動されない(電気泳動移動度は0)。

 

アミノ酸の等電点と等しいpHの水溶液中での電気泳動の移動度 82回薬剤師国家試験問13d

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