Noyes-Whitneyの式に関する記述 82回薬剤師国家試験問169

82回薬剤師国家試験 問169
Noyes-Whitneyの式に関する次の記述の正誤について、正しいものはどれか。

 

粉末と圧縮成形したものの溶解速度 82回薬剤師国家試験問169

 

a 同一物質で重量が同じであるならば、一般に粉末よりも圧縮成形したものの方が早く溶解する。
b 同一薬物の種々の塩を比較するとき、溶解度がより大きい薬物の塩は、他の条件が同一なら、溶解速度がより大きい。
c 縦軸に(Cs−C)を、横軸に時間tをとり、データをプロットすると、直線関係が得られる。
d いかなる薬物の溶解度も温度を上げることにより大きくなる。

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82回薬剤師国家試験 問169 解答解説

 

◆ aについて
a × 同一物質で重量が同じであるならば、一般に粉末よりも圧縮成形したものの方が早く溶解する。
→ 〇 同一物質で重量が同じであるならば、一般に粉末よりも圧縮成形したものの方が遅く溶解する。

 

同一物質で重量が同じ場合、
圧縮成形したものは粉末よりも表面積Sは小さくなるので、
圧縮整形したものの方が溶解速度は小さい。

 

 

◆ bについて
b 〇 同一薬物の種々の塩を比較するとき、溶解度がより大きい薬物の塩は、他の条件が同一なら、溶解速度がより大きい。

 

◆ cについて
c × 縦軸に(Cs−C)を、横軸に時間tをとり、データをプロットすると、直線関係が得られる。
→ 〇 縦軸にln(Cs−C)を、横軸に時間tをとり、データをプロットすると、直線関係が得られる。

 

下記の溶解速度に関するNoyes-Whitneyの式について、
dC/dt = k・S・(Cs−C)
dC/dt:溶解速度 k:見かけの溶解速度定数 
S:固体薬物Aの有効表面積 Cs:薬物Aの溶解度 
C:溶液中の薬物Aの濃度

 

Sは一定で積分すると次式が成り立つ。
ln(Cs−C) = −k・S・t + ln (Cs−C0)
C0:初期濃度

 

上式より、
横軸を時間t,縦軸をln(Cs−C)としてプロットすると、
縦軸切片がln (Cs−C0)、傾きが−k・Sの右下がりの直線が描かれることになる。

 

粉末と圧縮成形したものの溶解速度 82回薬剤師国家試験問169

 

 

◆ dについて
d × いかなる薬物の溶解度も温度を上げることにより大きくなる。

 

溶解過程が吸熱(僣>0)の薬物の場合は、
温度を上げることにより薬物の溶解度は大きくなる。

 

溶解過程が発熱(僣<0)の薬物の場合は、
温度を上げることにより薬物の溶解度は小さくなる。

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