薬物の溶解速度に影響する要因 83回薬剤師国家試験問169
83回薬剤師国家試験 問169
次の表は薬物の溶解速度に影響する要因、その効果及びそれらによって溶解速度が改善された代表的な薬物名を示したものである。正しいものはどれか。
83回薬剤師国家試験 問169 解答解説
正解はaとcである。
◆ aについて
粒子径を小さくするほど、比表面積は大きくなるので、溶解速度は大きくなる。また、薬物の粒子径をナノレベルまで低下させると、溶解度も上昇することが知られている。
グリセオフルビンは難溶性であるが、微粒子化することで表面積を増大させ、溶解速度を大きくすることで用いられる。ただ、グリセオフルビンは日本では製造販売が終了している。
関連問題
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◆ bについて
結晶多形において、
安定形とは化学ポテンシャルが最も小さい結晶であり、
安定形以外の結晶は準安定形とされる。
一般に、安定形は準安定形に比べて融点が高く、溶解度および溶解速度が小さい。
◆ cについて
非晶質(無晶形)は結晶形よりも溶解度および溶解速度が大きい。
インスリン亜鉛水性懸濁性製剤には、結晶性のものと無晶性(非晶質)のものがあるが、
結晶性のものは持続性に優れ、無晶性のものは速攻性に優れる。
◆ dについて
一般に、無水物の結晶は水和物よりも水に対する溶解度が高く、溶解速度が大きい。