薬物のみかけの溶解速度定数kの計算 109回薬剤師国家試験問180
109回薬剤師国家試験 問180
固体薬物AをS = 3cm2の円盤状に圧縮し、回転円盤法で37℃において溶解実験を行った。固体薬物Aの溶解速度は(1)の式に従い、試験中S は変化しないものとする。
t = 0のときC = 0 、11分後の薬物Aの濃度がCs/2であるとき、固体薬物Aのみかけの溶解速度定数k(min−1・cm−2)に最も近い値はどれか。1つ選びなさい。
ただし、ln 2 = 0.693とする。
109回薬剤師国家試験 問180 解答解説
みかけの溶解速度定数kに最も近い値は、
選択肢1の0.021 min−1・cm−2である。
設問の溶解速度に関する(1)式はNoyes-Whitneyの式と呼ばれる。
dC/dt = k・S・(Cs−C) …(1)
dC/dt:溶解速度 k:みかけの溶解速度定数
S:固体薬物Aの有効表面積 Cs:薬物Aの溶解度
C:時間tにおける溶液中の薬物Aの濃度
(1)式について、
Sは一定という条件で積分すると次式が成り立つ。
ln(Cs−C) = −k・S・t + ln (Cs−C0)
C0:t=0における溶液中の薬物Aの濃度
ここで、問題文に「S = 3cm2」,
「t=0のときC=0」とあるので、
S = 3cm2,C0=0 を代入すると、
ln(Cs−C) = −k・3cm2・t + ln Cs
ここで、問題文に「11分後の薬物Aの濃度がCs/2」とあるので、
t=11min、C=Cs/2 を代入すると、
ln(Cs−Cs/2) = −k・3cm2・11min + ln Cs
ln (Cs/2) = −k・33min・cm2 + ln Cs
k・33min・cm2 = ln Cs−ln(Cs/2)
k・33min・cm2 = ln 2 = 0.693
k = 0.021 min−1・cm−2
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