ln (Cs−C)を時間に対してプロットした図 90回薬剤師国家試験問169
90回薬剤師国家試験 問169
ある薬物粉末について、有効表面積が一定となるように回転円盤法を用いて、溶出試験を行った。温度T1及び T2(T2>T1)において、他の条件は同一として試験を行ったとき、ln (Cs−C)を時間に対してプロットした図として最も適当なものはどれか。ここで、Cは時間 tにおける濃度、Csは薬物の溶解度であり、t=0のとき C=0、また、薬物の溶解過程は吸熱とする。
90回薬剤師国家試験 問169 解答解説
正解は5である。
下記の溶解速度に関するNoyes-Whitneyの式について、
dC/dt = k・S・(Cs−C)
dC/dt:溶解速度 k:見かけの溶解速度定数
S:固体薬物Aの有効表面積 Cs:薬物Aの溶解度
C:溶液中の薬物Aの濃度
Sは一定で積分すると次式が成り立つ。
ln(Cs−C) = −k・S・t + ln (Cs−C0)
ここで、t=0のときC=0であり、
C0=0 であるので次式が成り立つ、
ln(Cs−C) = −k・S・t + ln Cs
上式より、
横軸を時間t,縦軸をln(Cs−C)としてプロットすると、
縦軸切片がln Cs、傾きが−k・Sの右下がりの直線が描かれることになる。
本問では、温度T1及び T2(T2>T1)でのグラフを比較する。
まず、グラフの傾き=−k・Sについて、
みかけの溶解速度定数kについて次式が成り立つ。
よって、絶対温度Tが高いほど、
みかけの溶解速度定数kは高い。
グラフの傾き=−k・S であるため、
T2>T1より、
T2のグラフの方が傾きは大きいと考えられる。
次に、Y切片=ln Csについて、
本問の薬物の溶解過程は吸熱であるため、
温度が高いほど、溶解度Csは高くなる。
よって、T2のグラフの方がY切片(ln Cs)は高いと考えられる。