薬物の溶解速度とノイエス−ホイットニー式 89回薬剤師国家試験問165

89回薬剤師国家試験 問165
固体薬物の溶解が拡散律速で進行するとき、
薬物の溶解速度(dt/dC)について、次式が成立する。
この式に関する記述のうち、正しいものはどれか。

 

薬物の溶解速度とノイエス−ホイットニー式 89回薬剤師国家試験問165

 

a 固体薬物を粉砕して粒子径を小さくすればSが増大して、溶解速度は大となる。
b Dは粘度に比例するため、溶媒の粘度が増加すると、溶解速度は大となる。
c 溶媒の撹拌速度を大きくすれば、hが小さくなるので、溶解速度は減少する。
d 同一薬物の種々の塩を比較するとき、Csがより大きい塩は、他の条件が同一なら、溶解速度がより大きい。

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89回薬剤師国家試験 問165 解答解説
◆ aについて
a 〇 固体薬物を粉砕して粒子径を小さくすればSが増大して、溶解速度は大となる。

 

薬物の溶解速度とノイエス−ホイットニー式 89回薬剤師国家試験問165

 

上式は薬物の溶解速度(dt/dC)に関するノイエス−ホイットニー式を変形したものである。
この式より、薬物の表面積Sが大きくなるほど、溶解速度は大きくなる。
粉体の平均粒子径と比表面積は反比例するので、
薬物を粉砕して粒子径を小さくすれば表面積は大きくなる。
関連問題
粒子径が小さいほど薬物の溶解速度が大きくなる理由 100回問49

 

 

◆ bについて
b × 拡散係数Dは粘度に比例するため、溶媒の粘度が増加すると、溶解速度は大となる。
→ 〇 拡散係数Dは粘度に反比例するため、溶媒の粘度が増加すると、溶解速度は小さくなる。

 

拡散係数Dについて次式が成り立つ。
薬物の溶解速度とノイエス−ホイットニー式 89回薬剤師国家試験問165

 

上式より、拡散係数Dは溶媒(または溶液)の粘度ηに反比例するため、溶媒の粘度が増加すると拡散係数は低下し、溶解速度は小さくなる。

 

 

◆ c,dについて
c × 溶媒の撹拌速度を大きくすれば、拡散層hが小さくなるので、溶解速度は減少する。
→ 〇 溶媒の撹拌速度を大きくすれば、拡散層hが小さくなるので、溶解速度は大きくなる。

 

d 〇 同一薬物の種々の塩を比較するとき、Csがより大きい塩は、他の条件が同一なら、溶解速度がより大きい。

 

薬物の溶解速度とノイエス−ホイットニー式 89回薬剤師国家試験問165

 

上式より、
溶媒の撹拌速度を大きくすれば、溶液の拡散層hが小さくなるので、溶解速度は大きくなる。
また、薬物の溶解度Csが大きくなると、溶解速度は大きくなる。

 

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