溶解補助剤と可溶化の機構 93回薬剤師国家試験問169

93回薬剤師国家試験 問169
[ I ] 欄の薬物に対する溶解補助剤を [ II ] 欄、その可溶化の機構を [ III ] 欄に示す。
正しいものの組合せはどれか。a〜eより2つ選びなさい。

 

溶解補助剤と可溶化の機構 93回薬剤師国家試験問169

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93回薬剤師国家試験 問169 解答解説

 

正解はcとdである。

 

溶解補助剤と可溶化の機構 93回薬剤師国家試験問169

 

◆ aについて
安息香酸ナトリウムやサリチル酸ナトリウムはカフェインなどのキサンチン類と水溶性の複合体を形成する。
カフェインに溶解補助剤として安息香酸ナトリウムを添加することにより、可溶性の複合体である安息香酸ナトリウムカフェイン(アンナカ)が形成される。これは固体分散体ではない。

 

固体分散体については下記のリンク先を参照
固体分散体の溶解 103回問174の5

 

 

◆ bについて
テオフィリンに溶解補助剤としてエチレンジアミンを添加することにより、
可溶性の複合体であるアミノフィリンが形成される。これは包接化合物ではない。

 

 

◆ cについて
薬物が単独の溶媒に溶けにくい場合、補助溶媒を添加すると溶解度が増大することがある。
この現象をコソルベンシーと呼び、添加される補助溶媒をコソルベントと呼ぶ。
コソルベンシーによる溶解性改善の原理として、1つの溶媒が薬物と複合体を形成し、この複合体が他の溶媒に溶解すると考えられている。
水に難溶性のジゴキシンの注射剤において、プロピレングリコールやエタノールがコソルベント(補助溶媒)として添加され、ジゴキシンの溶解性を高めている。

 

関連問題
ジアゼパム注射剤のコソルベンシーとコソルベント 106回問181の4,5

 

 

◆ dについて
脂溶性ビタミンやクロラムフェニコールは、界面活性剤のミセルの内部に取り込ませて溶解度を高める手法がとられる。
脂溶性ビタミンのビタミンAに溶解補助剤として非イオン性界面活性剤のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を添加することで、ミセル内取り込みによりビタミンAの溶解度が上昇する。

 

 

◆ eについて
プロスタグランジンE1に溶解補助剤としてシクロデキストリンを添加することで、
シクロデキストリンをホスト、プロスタグランジンE1をゲストとした包接化合物が形成され、プロスタグランジンE1の溶解度を高められる。
詳細は下記のリンク先を参照
シクロデキストリンによる包接化合物 90回問10

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