薬物の溶解性に関する記述の正誤 87回薬剤師国家試験問168

87回薬剤師国家試験 問168
薬物の溶解性に関する記述の正誤について,正しいものはどれか。
a 結晶多形において,溶解性に優れる準安定形の方が安定形よりモル融解熱が大きい。
b 溶解速度は表面積に依存する。
c 弱酸性の難溶性薬物の溶解度を局方崩壊試験法における試験液第1液と第2液で比較すると,一般的には第1液の方が大きい。
d 難溶性薬物の溶解性を改善するために,シクロデキストリンが用いられる。

トップページへ

 

薬剤師国家試験過去問題 科目別まとめ一覧 へ

 

薬剤師国家試験過去問題集 溶解度・溶解速度 一覧へ

 

 

87回薬剤師国家試験 問168 解答解説

 

◆ aについて
a × 結晶多形において,溶解性に優れる準安定形の方が安定形よりモル融解熱が大きい。
→ 〇 結晶多形において,溶解性に優れる準安定形の方が安定形よりモル融解熱が小さい。

 

モル融解熱とは、1molの固体が融解するときに吸収する熱である。
準安定形は安定形よりもモル融解熱が小さく、溶解度が大きい。

 

 

◆ bについて
b 〇 溶解速度は表面積に依存する。

 

一般に、薬物の表面積が大きいほど、溶解速度は大きくなる。

 

 

◆ cについて
c × 弱酸性の難溶性薬物の溶解度を局方崩壊試験法における試験液第1液と第2液で比較すると,一般的には第1液の方が大きい。
→ 〇 弱酸性の難溶性薬物の溶解度を局方崩壊試験法における試験液第1液と第2液で比較すると,一般的には第U液の方が大きい。

 

日本薬局方崩壊試験法の第1液のpHは約1.2、
第2液のpHは約6.8である。
弱酸性性薬物においては、溶液のpHが高いほど溶解度が大きくなるので、
第2液の方が溶解度は大きい。
なお、弱塩基性薬物においては、溶液のpHが低いほど溶解度が大きくなるので、
第1液の方が溶解度は大きい。

 

 

◆ dについて
d 〇 難溶性薬物の溶解性を改善するために,シクロデキストリンが用いられる。

 

シクロデキストリンは外側が親水性で、内側の空孔に疎水性の化合物を取り込ませて包接化合物とすることで溶解性を改善することができる。

 

関連問題
シクロデキストリンによる包接化 90回問10

トップへ戻る