94回薬剤師国家試験問170 固形製剤の物性評価と式

94回薬剤師国家試験 問170
固形製剤の物性評価に関する記述とそれを説明するための式の対応として、正しいものはどれか。

 

94回薬剤師国家試験問170 固形製剤の物性評価と式

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94回薬剤師国家試験 問170 解答解説

 

正解は1と2である。
94回薬剤師国家試験問170 固形製剤の物性評価と式

 

◆ 1について
ぬれの平衡状態では各界面張力と接触角θについて次のヤングの式が成り立つ。
γS = γSL + γL・cosθ
γS:固−気界面張力 γSL:固−液界面張力
γL:液−気界面張力

 

接触角が小さいほどぬれやすいことを示す。

 

関連問題
ぬれやすさと接触角 101回問174の1

 

 

◆ 2について

 

粉体のぬれやすさの測定法の1つに毛管上昇法がある。
毛管上昇法では、粉体を液体に接触させ、毛細管現象で粉体層内の細孔に液体が浸透した時の液体の上昇度合いを測定する。ぬれの評価には、下記のウォッシュバーンの式が用いられる。

 

94回薬剤師国家試験問170 固形製剤の物性評価と式

 

 

粘度が低い溶媒ほど錠剤中への浸入速度は大きい。

 

なお、液体が固体表面を毛細管現象でぬらすことを浸透ぬれ(浸漬ぬれ)と呼ぶ。
浸透ぬれ(浸漬ぬれ)は接触角θが0°≦θ<90°の範囲で起こる。

 

 

◆ 3について
薬物の溶解速度に関する式として、
Noyes-Whitney式(ノイエス-ホイットニー式)や
Hixson-Crowell式(ヒクソン-クロウェル式)がある。
これらの式によると、
溶液のかく搾速度を大きくすると、拡散層hが小さくなり、溶解速度は大きくなる。

 

なお、Higuchiの式(ヒグチの式)はマトリックス型製剤の薬物放出量に関する式であり、
単位面積当たりの累積薬物放出量は、時間の平方根(√t)に比例することを表す。

 

 

◆ 4について
粉体の比表面積測定法の1つとして、空気透過法がある。
空気透過法では粉体層に空気を透過させ、
透過速度と圧力低下の関係から粉体の比表面積を測定する。
空気透過法ではKozeny-Carman式(コゼニ−-カーマン式)が用いられる。

 

また、他の粉体の比表面積測定法として、吸着法がある。
吸着法は、気体や液体分子が試料粒子の表面を単分子層で覆うのに必要な分子数から粉体の比表面積を求める方法である。
吸着法では、Langmuir式(ラングミュア式)やBET式を用い、試料粉体表面における単分子層吸着量を算出し、比表面積を求める。

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