ヒクソンクロウェルの式の条件・粒子径 86回薬剤師国家試験問170
86回薬剤師国家試験 問170
粉末粒子の溶解に関して次のHixson-Crowellの式が知られている。
M01/3 − Mt1/3 = k・t
M0:初期の粉末粒子質量
Mt:時間tでの未溶解粉末粒子質量
k:溶解速度定数 t:時間
この式に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。
a シンク条件を仮定して導かれる。
b 粉末粒子の粒度分布は正規分布に従うとして導かれる。
c kの次元は (時間) −1・ (質量) 1/3である。
d 同一試料を用いる時、試験液の粘度が大きくなると、kの値は小さくなる。
86回薬剤師国家試験 問170 解答解説
◆ a,bについて
a 〇 シンク条件を仮定して導かれる。
b × 粉末粒子の粒度分布は正規分布に従うとして導かれる。
→ 〇 Hixson-Crowellの式では、粉体を構成する粒子の粒子径は同一という条件なので、粉体は粒度分布を持たないとされる。
Hixson-Crowell(ヒクソン-クロウェル)の式は球形粒子からなる粉体の溶解速度に関する式であるが、
成立条件として次のことが挙げられる。
・シンク条件(溶解度>>溶液濃度)
・溶解に伴う粒子形状の変化はなく、粒子が球形を保ったまま溶解する。
・粉体を構成する粒子の粒子径は同一であり、粉体は粒度分布を持たない。
◆ cについて
c 〇 kの次元は(時間) −1・ (質量) 1/3である。
M01/3 − Mt1/3 = k・t より、
k = (M01/3 − Mt1/3)/t
であるので、kの次元は(時間) −1・ (質量) 1/3である。
◆ dについて
d 〇 同一試料を用いる時、試験液の粘度が大きくなると、kの値は小さくなる。
Hixson-Crowellの式の溶解速度定数kは拡散係数Dに比例する。
拡散係数Dについて次式が成り立つ。
以上より、
試験液の粘度が大きくなると、kの値は小さくなると考えられる。