Noyes-Whitney式に関する記述の正誤 93回薬剤師国家試験問170
93回薬剤師国家試験 問170
Noyes-Whitney式に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。
a 溶解過程が拡散律速の場合についてのみ成立する式である。
b シンク条件 (C≪Cs) についてのみ成立する式である。
c 溶解速度定数kの値は、溶解過程での攪拌条件により変化する。
d 結晶性医薬品を数μm程度まで微細化すると、表面積の増大とともにCsも著しく増大するため、溶解速度は顕著に大きくなる。
93回薬剤師国家試験 問170
◆ aについて
a 〇 溶解過程が拡散律速の場合についてのみ成立する式である。
薬物の溶解速度に関するNoyes-Whitney式(ノイエス−ホイットニー式)は、
薬物の溶解過程が拡散律速であり、
かつ、薬物の拡散がフィックの第一法則に従うことが条件である。
◆ bについて
b × シンク条件 (C≪Cs) についてのみ成立する式である。
ノイエス−ホイットニー式はシンク条件を成立条件としない。
なお、シンク条件を成立条件とする溶解速度の関係式としてヒクソン−クロウェル式がある。
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◆ cについて
c 〇 溶解速度定数kの値は、溶解過程での攪拌条件により変化する。
Noyes-Whitney式について、
みかけの溶解速度定数kについて次式が成り立つ。
攪拌速度が大きくなると、拡散層の厚さhが小さくなるので、
みかけの溶解速度定数kの値は大きくなる。
◆ dについて
d × 結晶性医薬品を数μm程度まで微細化すると、表面積の増大とともにCsも著しく増大するため、溶解速度は顕著に大きくなる。
薬物を粉砕して粒子径を小さくすると表面積Sが増大して溶解速度は大きくなる。
しかし、薬物を微細化しても溶解度Csは変化しない。
薬物の溶解度Csが変化する要因として、
溶液の温度やpHの変化が挙げられる。