薬物の溶解性の改善に用いる添加剤とその溶解性改善の機構 109回薬剤師国家試験問181
109回薬剤師国家試験 問181
薬物の溶解性の改善に用いる添加剤とその溶解性改善の機構との組合せのうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
109回薬剤師国家試験 問181 解答解説
薬物の溶解性の改善に用いる添加剤とその溶解性改善の機構との組合せのうち、
正しいのは2と5である。
◆ 2 ヒドロキシプロピルメチルセルロース:固体分散体形成
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)は、
固体分散体の担体高分子として用いられる。
薬物が担体となる高分子に分散された粉体を固体分散体と呼ぶ。
固体分散体製剤の目的の多くは、難溶性薬物を非晶質化することで溶解性を改善することである。
また、一般に非晶質は不安定であるが、固体分散体とすることで非晶質の安定性を高めることができる。
固体分散体製剤の担体高分子として、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース),
ポリビニルピロリドン(ポビドン)、メタクリル酸−メタクリレートコポリマーなどがある。
◆ 5 エタノール:コソルベンシー
エタノールはコソルベンシーの補助溶媒として用いられる。
薬物が単独の溶媒に溶けにくい場合、補助溶媒を添加すると溶解度が増大することがある。
この現象をコソルベンシーと呼び、添加される補助溶媒をコソルベントと呼ぶ。
コソルベンシーによる溶解性改善の原理として、1つの溶媒が薬物と複合体を形成し、この複合体が他の溶媒に溶解すると考えられている。
コソルベンシーの例として、水に難溶性のジゴキシンの注射剤において、
プロピレングリコールやエタノールがコソルベント(補助溶媒)として添加され、ジゴキシンの溶解性を高めている。
以下、他の選択肢について
◆ 1 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、非イオン性界面活性剤であり、薬物のミセル内取り込みによる溶解性改善に用いられる。
脂溶性ビタミンやクロラムフェニコールは、界面活性剤のミセルの内部に取り込ませて溶解度を高める手法がとられる。
◆ 3 ポリビニルピロリドン
ポリビニルピロリドン(ポビドン)は、固体分散体の担体高分子として用いられる。
また、ポリビニルピロリドンは、薬物との複合体形成による溶解性改善にも用いられる(例:ポビドンとヨードとの錯体形成によるヨードの溶解性改善)
◆ 4 エチレンジアミン
エチレンジアミンは、薬物との複合体形成による溶解性改善に用いられる。
テオフィリンに溶解補助剤としてエチレンジアミンを添加することにより、
可溶性の複合体であるアミノフィリンが形成される。
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