薬物の血漿タンパク結合に関する記述 94回薬剤師国家試験問154
94回薬剤師国家試験 問154
薬物の血漿タンパク結合に関する記述のうち、正しいものはどれか。2つ選びなさい。
1 薬物と血漿タンパク質との結合の親和性は結合定数で表され、この数値が小さいほど親和性が高い。
2 ジアゼパムは、アルブミン分子上の薬物結合部位のサイトUに結合する。
3 プロプラノロールは、α1−酸性糖タンパク質に結合する。
4 インドメタシンは、ワルファリンの血漿タンパク結合を競合的に阻害し、抗血液凝固作用を減弱させる。
94回薬剤師国家試験 問154 解答解説
◆ 1について
1 × 薬物と血漿タンパク質との結合の親和性は結合定数で表され、この数値が小さいほど親和性が高い。
→ 〇 薬物と血漿タンパク質との結合の親和性は結合定数で表され、この数値が大きいほど親和性が高い。
タンパク質1分子に薬物1分子が結合する場合、
薬物のタンパク質に対する結合は、次式で表される。
Pf + Df ⇄ P−D
Pf:非結合型タンパク質
Df:非結合型薬物
P−D:タンパク質−薬物複合体
この可逆反応の平衡定数は、薬物のタンパク質に対する結合定数Kと呼ばれ、
次式で表される。
結合定数Kは、薬物とタンパク質との結合の親和性の指標であり、
この数値が大きいほど親和性が高い。
◆ 2について
2 ○ ジアゼパムは、アルブミン分子上の薬物結合部位のサイトUに結合する。
アルブミンには、以下に示す3つの薬物結合部位があると知られている。
サイトT:ワルファリンサイト
サイトU:ジアゼパムサイト
サイトV:ジギトキシンサイト
◆ 3について
3 ○ プロプラノロールは、α1−酸性糖タンパク質に結合する。
α1−酸性糖タンパク質は、塩基性薬物と強く結合し、
プロプラノロール,リドカイン,リトナビル,イミプラミン,イマチニブなどとの親和性が高い。
◆ 4について
4 × インドメタシンは、ワルファリンの血漿タンパク結合を競合的に阻害し、抗血液凝固作用を減弱させる。
→ 〇 インドメタシンは、ワルファリンの血漿タンパク結合を競合的に阻害し、抗血液凝固作用を増強させる。
インドメタシンは、ワルファリンと同様にアルブミンのサイトTに結合するので、
これらを併用すると、ワルファリンのアルブミンとの結合が競合的に阻害され、
ワルファリンの非結合形が増え、抗血液凝固作用が増強すると考えられる。