薬物の胎盤透過に関する記述 100回薬剤師国家試験問269

100回薬剤師国家試験 問269
薬物の胎盤透過に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 一般に、分子量5000以上の薬物も透過して胎児へ移行する。
2 胎盤にはP−糖タンパク質が発現し、薬物の胎児への移行を促進している。
3 多くの薬物の胎盤透過は、pH分配仮説に従う。
4 一般に、母体中の血漿タンパク質結合形薬物は、胎児へ移行しない。
5 一般に、水溶性の高い薬物ほど胎盤を透過しやすい。

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100回薬剤師国家試験 問269 解答解説

 

◆ 1,3,4,5について
1 × 一般に、分子量5000以上の薬物も透過して胎児へ移行する。
→ 〇 一般に、分子量1000以上の薬物は、胎盤を透過しない。

 

3 ○ 多くの薬物の胎盤透過は、pH分配仮説に従う。

 

4 ○ 一般に、母体中の血漿タンパク質結合形薬物は、胎児へ移行しない。

 

5 × 一般に、水溶性の高い薬物ほど胎盤を透過しやすい。
→ 〇 一般に、脂溶性の高い薬物ほど胎盤を透過しやすい。

 

 

母体血と胎児血の間には、合胞体性栄養膜細胞を実体とする血液胎盤関門が存在し、
薬物の胎児血への移行を制限している。

 

多くの薬物の胎盤透過は、単純拡散により起こり、pH分配仮説に従う。
よって、分子量が小さく、脂溶性が高い薬物ほど胎盤を透過しやすい。
母体血中でタンパク結合した薬物は、胎盤関門を透過しない。

 

 

◆ 2について
2 × 胎盤にはP−糖タンパク質が発現し、薬物の胎児への移行を促進している。
→ 〇 胎盤にはP−糖タンパク質が発現し、薬物の胎児への移行を抑制している。

 

血液胎盤関門の合胞体性栄養膜細胞の刷子縁膜側にはP-糖タンパク質が発現し、
薬物を細胞内から母体血中へ排出している。

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