薬物の生体内移行に関する記述 95回薬剤師国家試験問155
95回薬剤師国家試験 問155
薬物の生体内移行に関する記述について、正しいものはどれか。3つ選びなさい。
1 一部の薬物の母体から胎児への移行は、胎盤関門により制限されている。
2 脈絡叢には、ベンジルペニシリンを脳脊髄液から血液中へ排出する機構が存在する。
3 エバンスブルーは、血漿中のアルブミンとほとんど完全に結合するため、その分布容積は血漿容積とほぼ等しくなる。
4 肝臓の毛細血管壁の構造は、有窓内皮に分類される。
95回薬剤師国家試験 問155 解答解説
◆ 1について
1 ○ 一部の薬物の母体から胎児への移行は、胎盤関門により制限されている。
母体血と胎児血の間には、合胞体性栄養膜細胞を実体とする血液胎盤関門が存在し、
薬物の胎児血への移行を制限している。
◆ 2について
2 ○ 脈絡叢には、ベンジルペニシリンを脳脊髄液から血液中へ排出する機構が存在する。
脳脊髄液中のβ−ラクタム抗生物質は、脈絡叢上皮細胞の脳脊髄液側の細胞膜に存在する有機アニオントランスポーターにより、脳脊髄液から細胞内に取り込まれる。その後、細胞内から血液中に排出される。
◆ 3について
3 ○ エバンスブルーは、血漿中のアルブミンとほとんど完全に結合するため、その分布容積は血漿容積とほぼ等しくなる。
一般に、非結合形薬物のみ血漿から組織に移行できる。
エバンスブルーは、血漿中のアルブミンとほとんど完全に結合するため、
血管外には移行しないと考えられる。
よって、エバンスブルーの分布容積は血漿容積とほぼ等しくなる。
◆ 4について
4 × 肝臓の毛細血管壁の構造は、有窓内皮に分類される。
→ 〇 肝臓の毛細血管壁の構造は、不連続内皮に分類される。
毛細血管内皮のうち、不連続内皮は、内皮細胞の間に大きな開口部があり、低分子だけでなく高分子も自由に通過できる。タンパク結合した物質でも、不連続内皮の開口部から血管外に移行できる。
不連続内皮から成る毛細血管の組織として、肝臓,脾臓,骨髄などがある。