アルデヒド,ケトンとアミンの反応性に対するpHの影響 89回薬剤師国家試験問10a
第89回薬剤師国家試験 問10a
アルデヒド及びケトンヘの求核付加反応に関する記述の正誤を判定してみよう。
a プロパノン(アセトン)とヒドロキシルアミンとの反応の速度は、pHの影響を受けない。
第89回薬剤師国家試験 問10a 解答解説
a × プロパノン(アセトン)とヒドロキシルアミン(NH2OH)との反応の速度は、pHの影響を受けない。
アルデヒド・ケトンとヒドロキシルアミン(NH2OH)との反応では、
求核付加に続く脱水により、
オキシムが生成する。
アルデヒド・ケトンに対する求核付加反応のpHの影響について、
酸性条件下では、カルボニル酸素が酸触媒によりプロトン化されると、
カルボニル炭素の正の分極度合い(Cδ+)が強まり、求核剤との反応性が高まるため、
pHが酸性の方がアルデヒド・ケトンの求核付加反応は進行しやすくなる。
ただ、アミンが求核剤の場合のアルデヒド・ケトンに対する求核付加反応では、酸性にし過ぎると、アミンがプロトン化されてしまうことで求核性が低下して反応性が低下する。よって、アルデヒド・ケトンに対するアミンの求核付加反応では、酸が少なすぎても多すぎても反応が進みにくくなる。このことから、アルデヒド・ケトンに対するアミンの求核付加反応はpH4.5付近の弱酸性で反応速度が最高となる。