アルデヒド,ケトンとシアン化ナトリウムNaCNからシアノヒドリンの反応機構 98回薬剤師国家試験問104の2

第98回薬剤師国家試験 問104の2
以下の反応2について、主生成物の構造を正しく示しているか判定してみよう。ただし、すべての反応は終了後、適切な後処理を施してある。

 

アルデヒド,ケトンとシアン化ナトリウムNaCNからシアノヒドリン 反応機構 98回問104の2

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第98回薬剤師国家試験 問104の2 解答解説
図の主生成物の構造は正しくない。
反応2では、アセトフェノンとNaCNの反応で、下記のシアノヒドリンが生成する。

 

アルデヒド,ケトンとシアン化ナトリウムNaCNからシアノヒドリン 反応機構 98回問104の2

 

 

アルデヒド・ケトン(R-CO-R)と求核試薬(Nu)の反応として一般に起こりやすいのは求核付加反応である。カルボニル(C=O)の炭素は正に分極しており(Cδ+)、そこへ求核試薬(Nu)が付加し、結果として、カルボニル構造は失われる。

 

一方、同じカルボニル(C=O)を有する化合物でも、カルボン酸・カルボン酸誘導体(R-CO-L)と求核試薬(Nu)との反応として一般に起こりやすいのは求核置換反応である。カルボニル(C=O)の炭素に求核試薬(Nu)が付加するが、結果として、LがNuに置換したものが生成し、カルボニル構造は失われないことが多い(求核アシル置換反応)。

 

 

★ アルデヒド・ケトンに対するCN-の求核付加反応でシアノヒドリンが生成

 

アルデヒド・ケトンに対してNaCN(シアン化ナトリウム)を反応させると、シアン化物イオン(−:CN)がカルボニル炭素に求核付加し、C=OがCH−O:‐となり、その後、水分子がCH−O:‐をプロトン化してCH−OHとなり、結果として、シアノヒドリン( −CH(OH)CN )が生成する。
ただ、この反応は塩基が存在すると容易に逆反応が進み、アルデヒド・ケトンとシアン化物イオンを再生する。
その理由として、生成物のシアノヒドリンはシアン化水素構造(HCN)を含むが、シアン化水素(HCN)の酸性度は水などと比較して相対的に高いことから、その共役塩基のシアン化物イオンの塩基性が比較的低く安定性が比較的高いことが挙げられる。

 

アルデヒド,ケトンとシアン化ナトリウムNaCNからシアノヒドリン 反応機構 98回問104の2

 

よって、設問の生成物の構造式は誤りである。

 

★他サイトさんの解説へのリンク
第98回問104(e-RECさん)

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