ベンズアルデヒドのNaBH4によるヒドリド還元でベンジルアルコール 98回薬剤師国家試験問104の1
第98回薬剤師国家試験 問104の1
以下の反応1について、主生成物の構造を正しく示しているか判定してみよう。ただし、すべての反応は終了後、適切な後処理を施してある。
第98回薬剤師国家試験 問104の1 解答解説
図の主生成物の構造は正しくない。
反応1はベンズアルデヒドとNaBH4の反応であるが、下記のようにベンズアルデヒドのヒドリド還元が進み、ベンジルアルコールが生成する。
アルデヒド・ケトン(R-CO-R)と求核試薬(Nu)の反応として
一般に起こりやすいのは求核付加反応である。
詳細は下記のリンク先を参照
アルデヒド,ケトンと求核試薬の反応 求核付加反応のまとめ
★ アルデヒド・ケトンのヒドリド還元
テトラヒドリドアルミン酸リチウム(LiAlH4))やテトラヒドリドホウ素化ナトリウム(NaBH4)はヒドリドイオン(H:−)の供与体となり、相手を還元する。
アルデヒド・ケトンにLiAlH4やNaBH4を反応させると、ヒドリドイオン(H:−)がカルボニル炭素に求核付加し、C=OがCH−O:‐となり、その後に酸処理すると、CH−OHのアルコールとなる。
ヒドリドイオンは塩基性が強く反応性が高いので安定性が低い。よって、アルコールからアルデヒド・ケトンとヒドリドイオンに戻る反応は起こりにくい。したがって、アルデヒド・ケトンのヒドリド還元は不可逆反応である。
設問の反応1について、
反応1は下記のように進行し、ベンズアルデヒドのヒドリド還元により、ベンジルアルコールが生成する。
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第98回問104(e-RECさん)