コレスチミドでタウロコール酸の再吸収が阻害される機序 107回薬剤師国家試験問209

107回薬剤師国家試験 問209
コレスチミドは腸管において、胆汁酸であるタウロコール酸の再吸収を阻害し、肝におけるコレステロールから胆汁酸への異化を促進する。タウロコール酸の再吸収が阻害される機序に関する記述として、最も適切なのはどれか。1つ選びなさい。

 

コレスチミドでタウロコール酸の再吸収が阻害される機序 107回薬剤師国家試験問209

 

1 コレスチミドを触媒としてタウロコール酸が分解される。
2 コレスチミドのヒドロキシ基とタウロコール酸のヒドロキシ基との間に水素結合が形成される。
3 コレスチミドのカチオンとタウロコール酸のイオン化したスルホ基との間にイオン結合が形成される。
4 コレスチミドのヒドロキシ基とタウロコール酸のスルホ基との間に水素結合が形成される。
5 コレスチミドのヒドロキシ基とタウロコール酸のスルホ基がエステル結合を形成する。

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107回薬剤師国家試験 問209 解答解説

 

コレスチミドの投与で胆汁酸であるタウロコール酸の腸管からの再吸収が阻害される機序は、
3の「コレスチミドのカチオンとタウロコール酸のイオン化したスルホ基との間にイオン結合が形成される」である。

 

コレスチミドでタウロコール酸の再吸収が阻害される機序 107回薬剤師国家試験問209

 

コレスチミドはカチオン性(陽イオン)構造を持つ陰イオン交換樹脂製剤である。
胆汁酸のタウロコール酸は、構造中のスルホ基からH+が解離してSO3−のアニオン(陰イオン)となる。
コレスチミドを投与すると、腸管内において、タウロコール酸のアニオンとコレスチミドのカチオンが−の電荷と+の電荷間で働くクーロン力による静電的相互作用で結びつき(イオン結合形成)、タウロコール酸はコレスチミドと共に便中に排泄されやすくなり、結果、タウロコール酸の再吸収が阻害される。

 

・コレスチミド(コレバイン)の薬理作用
下記はコレスチミド(コレバイン)の添付文書の作用機序の記述である。
「コレスチミドは消化管で胆汁酸を吸着し,その排泄促進作用により胆汁酸の腸肝循環を阻害し,肝におけるコレステロールから胆汁酸への異化を亢進する.その結果,肝のコレステロールプールが減少するため,この代償作用として,肝LDL受容体の増加による血中LDLの取込み亢進が生じ,血清総コレステロールが減少する.なお,外因性コレステロールの直接の吸着あるいは胆汁酸ミセル形成阻害によるコレステロール吸収阻害も血清総コレステロールの減少に寄与するものと考えられている.」

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