疎水性相互作用の原動力は水構造の崩壊とエントロピーの増大 89回薬剤師国家試験問17a
第89回薬剤師国家試験 問17a
次の水溶液中での分子間相互作用に関する記述の正誤を判定してみよう。
a 疎水性相互作用は、疎水性分子(又は疎水性基)間会合により、それを取りまく水構造が崩壊する結果、エントロピーが増大することに起因する。
89回薬剤師国家試験 問17a 解答解説
a 〇 疎水性相互作用は、疎水性分子(又は疎水性基)間会合により、それを取りまく水構造が崩壊する結果、エントロピーが増大することに起因する。
疎水性相互作用とは、
水中において疎水性の炭化水素基同士が会合しようとする相互作用であるが、
これは疎水性分子表面の水和水が排除されることにより、
エントロピーが増大することが原動力となる。
疎水性の炭化水素基が水中に入ると、
水分子が炭化水素基を取り囲む規則正しい3次元のかご状構造を形成していく。
これは、熱力学的に、乱雑さが減少してエントロピーが減少する動きであり、
自発的な変化はエントロピーが増大する方向へ進むという熱力学第二法則に反するため、不安定である。
炭化水素基周囲の水分子のかご状構造が破壊されれば、
水分子の動きの自由度が上がることになるが、
これは、熱力学的に、乱雑さが増してエントロピーが増大し、安定となる変化である。
そのため、炭化水素基を取り巻く水分子のかご状構造を破壊すべく、
炭化水素基同士が会合し、
炭化水素基表面の水和水は排除され、エントロピーは増大する。
エントロピーと熱力学第二法則については
下記のリンク先を参照
エントロピーと熱力学第二法則 86回問20b
関連問題
疎水性相互作用はファンデルワールス相互作用により説明されない 100回問91の5
★参考外部サイトリンク
疎水性相互作用と電荷移動錯体(薬学生のノートまとめさん)