エントロピーと熱力学第二法則 86回薬剤師国家試験問20b
86回薬剤師国家試験問 問20b
熱力学に関する記述の正誤を判定してみよう。
b 自発的な反応は、必ず系のエントロピーが減少する方向に進む。
86回薬剤師国家試験問 問20b 解答解説
b × 自発的な反応は、必ず系のエントロピーが減少する方向に進む。
→ 〇 自発的な反応は、エントロピーが増大する方向に進む。
★ エントロピーとは
エントロピー(S)とは、乱雑さを定量的に表す熱力学量であり、示量性状態関数の1つである。
エントロピー変化(儡)は、次の式で定義される。
★ エントロピーと熱力学第二法則:自発変化の方向性の判定について
乱雑さが大きいほど、エントロピー(S)は高くなる。
熱力学第二法則では、
”自発的な変化は、物質やエネルギーが乱雑に(無秩序に)散らばる方向に進む”ことを、
エントロピー(S)を用いて記述される。
熱力学第二法則は、
“可逆変化では孤立系(宇宙)のエントロピーは一定で変化せず(儡宇宙>=0)、
不可逆変化では孤立系(宇宙)のエントロピーは増大する(儡宇宙>0)“
と表現される。
自然に起こる自発的な変化は不可逆変化であるので、
自発的な反応は、
孤立系(宇宙)のエントロピーが増大する方向に進むといえる。
熱力学第二法則は、
自然に起こる自発的な変化(不可逆過程)の方向性(儡宇宙>0の方向に進む)、
および、
平衡状態(可逆過程)の条件が儡宇宙=0であることを示している。
エントロピーにより自発変化の方向を判定することについて、
系が孤立系の場合は系のエントロピー変化(儡系)だけで判定できるが、
系が孤立系以外の場合は、
系と外界を合わせた宇宙のエントロピー変化(儡宇宙=儡系+儡外界)で判定しなければならないことに注意。