気体の運動 マクスウェル・ボルツマン分布則 100回薬剤師国家試験問92

100回薬剤師国家試験 問92
下の図は、マクスウェル・ボルツマン分布則に基づいた、温度の異なる、ある理想気体の運動の速さ分布である。図中の曲線Aは温度T1= 150K の場合、曲線Bは温度T2の場合を示す。気体の運動に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。ただし、図中の分子運動は並進運動のみを表しているものとする。

 

気体の運動 マクスウェル・ボルツマン分布則 100回薬剤師国家試験問92

 

1 T2は、約300K である。
2 各曲線における最大確率速度(頂点における速度)は、それぞれの平均の速さより小さい。
3 分子量が2倍、温度T1の理想気体における分布曲線は、曲線Aと比べて、右側にシフトし広がる。
4 温度が高くなれば、速さ分布は広がる。

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100回薬剤師国家試験 問92 解答解説

 

◆ 1について
1 × T2は、約300K である。
→ 〇 T2は、約600K である。

 

気体の運動 マクスウェル・ボルツマン分布則 100回薬剤師国家試験問92

 

上式より、絶対温度Tが4倍になると、気体分子の平均二乗速度〈u2〉は2倍になる。
また、気体分子について、絶対温度Tが4倍になると、最大確率速度も2倍になる。

 

気体の運動 マクスウェル・ボルツマン分布則 100回薬剤師国家試験問92

 

設問の図より、曲線の頂点における速度が最大確率速度であり、
T1=150Kの時の最大確率速度は790m/sであり、
T2の時の最大確率速度は1580m/sである。
T2の最大確率速度はT1の2倍なので、
T2はT1の4倍の
150K×4 = 600K だと考えられる。

 

 

◆ 2について
2 〇 各曲線における最大確率速度(頂点における速度)は、それぞれの平均の速さより小さい。

 

設問の図のデータの分布を見ると、
曲線A・Bのいずれにおいても、
曲線の形状はピークを超えた後の方に長く尾を引くように偏りがある。
この場合、平均値は高い値に引っ張られて高くなるので、
平均値>最頻値だと考えられる。
したがって、
各曲線における最大確率速度(頂点における速度)は、
それぞれの平均の速さより小さい。

 

 

◆ 3について
3 × 分子量が2倍、温度T1の理想気体における分布曲線は、曲線Aと比べて、右側にシフトし広がる。
→ 〇 分子量が2倍、温度T1の理想気体における分布曲線は、曲線Aと比べて、左側にシフトし広がる。

 

気体の運動 マクスウェル・ボルツマン分布則 100回薬剤師国家試験問92

 

 

上式より、
温度が一定で分子量が2倍になると、
平均二乗速度〈u2〉は小さくなる。

 

 

◆ 4について
4 〇 温度が高くなれば、速さ分布は広がる。

 

一般に、温度が高くなると分子の並進運動が激しくなり、
並進運動速度は速くなる。
設問の曲線Aと曲線Bを比べても、
相対的に温度の高い曲線Bの方が速さ分布は広いことがわかる。

 

気体の運動 マクスウェル・ボルツマン分布則 100回薬剤師国家試験問92

 

 

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