反応に伴う内部エネルギー変化 99回薬剤師国家試験問92

99回薬剤師国家試験 問92
1×105N/m2、107℃で水素1.0molと酸素0.50molを反応させ、水(気体)を合成した。この反応に伴い243kJ の熱が発生した。水素と酸素はすべて反応し、温度及び圧力は一定であった。この反応に伴う内部エネルギー変化(kJ)に最も近いのはどれか。1つ選びなさい。
ただし、気体定数R = 8.31(J・mol−1K−1)とする。

 

1 −360
2 −240
3 −120
4 120
5 240
6 360

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99回薬剤師国家試験 問92 解答解説
正解は2の−240である。

 

熱力学第一法則より、
系の内部エネルギー変化(儷)は
下記の式で表される。

 

儷 = q + w
(儷:内部エネルギー変化 q:熱 w:仕事)

 

 

◆ 系に出入りする熱

 

系の仕事が体積変化の仕事(膨張・収縮)に限られる場合、
定圧条件下で系に出入りする熱(qp)はエンタルピー変化(凾g)に等しい。
qp = 凾g
(添え字のpは定圧条件を示す)

 

よって、本問の反応で系に出入りした熱を求めるには、
エンタルピー変化(凾g)を求めればよい。

 

問題文に「水素1.0molと酸素0.50molを反応させ、水(気体)を合成した。この反応に伴い243kJ の熱が発生した。水素と酸素はすべて反応し、温度及び圧力は一定であった」とある。
よって、化学反応式は下記のように記述される。

 

反応に伴う内部エネルギー変化 99回薬剤師国家試験問92

 

発熱反応のため、反応エンタルピー(决 H)は、
决 H = −243kJ
と負の値であることに注意。

 

よって、
qp = 决H = −243kJ

 

エンタルピーについては下記のリンク先を参照
エンタルピーとは

 

 

◆ 系に出入りする仕事
定圧条件下の系の体積変化の仕事(膨張・収縮)は、
下記の式で表される。

 

wp = −p・儼
(w:仕事 p:圧力 凾u:体積変化)

 

理想気体の状態方程式(pV=nRT)より、
定温・定圧条件下では、
wp,T = −p・儼 = −R・T・冢
が成り立つ。

 

系の物質量の変化(冢)について、
水素1.0molと酸素0.50molをすべて反応させ、
水(気体)を1.0mol合成したので、
冢=−0.5molである。

 

よって、
設問の反応に伴う系の体積変化の仕事は
下記のように求められる。

 

反応に伴う内部エネルギー変化 99回薬剤師国家試験問92

 

本問の仕事の符号は正(+)であるが、
これは系の体積が収縮したことについて、
系に仕事が加えられ、系のエネルギーが増えたことを意味する。

 

仕事・熱の符号(正負)については下記のリンク先を参照
熱力学における熱と仕事の符号(正負)

 

 

◆ 内部エネルギー変化

 

以上より、
儷 = q + w
    = −243kJ + 1.6 kJ
    = −243kJ + 1.6 kJ
儷 ≒ −241kJ

 

 

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