並進,回転,振動,電子遷移とエネルギー準位 103回薬剤師国家試験問95の1,2
103回薬剤師国家試験 問95の1,2
分子の振動、回転、電子遷移に伴う、分子のエネルギー準位間の遷移と電磁波の吸収に関する記述の正誤を判定してみよう。
1 分子の振動、回転、電子遷移のうち、回転に伴って吸収される電磁波の波長が最も長い。
2 吸収される電磁波の波長と、遷移するエネルギー準位間のエネルギー差には、正の比例関係がある。
103回薬剤師国家試験 問95の1,2 解答解説
1 〇 分子の振動、回転、電子遷移のうち、回転に伴って吸収される電磁波の波長が最も長い。
2 × 吸収される電磁波の波長と、遷移するエネルギー準位間のエネルギー差には、正の比例関係がある。
→ 〇 吸収される電磁波の波長と、遷移するエネルギー準位間のエネルギー差には、負の比例関係(反比例の関係)がある。
物質の電子エネルギー、振動エネルギー、回転エネルギー、並進運エネルギーは量子化されており、これらは連続的な値をとらず、飛び飛びの値しかとれない。
量子化されたエネルギーは、エネルギー準位と呼ばれるエネルギーの大きさの段階を表すもので区切られ、階層化されている。
量子化エネルギーの階層は、エネルギー準位が飛び飛びに間隔を空けて並んだはしごのような層状のものになっている。
エネルギー準位の遷移(励起)に要するエネルギーの大きさ(エネルギー準位間の間隔)はエネルギーの種類によって異なり、
エネルギー準位の間隔は、大きい方から、
電子 > 振動 > 回転 > 並進 の順である。
よって、
エネルギー準位の遷移に伴い吸収される電磁波のエネルギーの大きさは、
大きい方から、
電子遷移 > 振動遷移 > 回転遷移 の順である。
電磁波のエネルギーの大きさと波長は反比例するので、
エネルギー準位の遷移に伴い吸収される電磁波の波長は、
短いものから、
電子遷移 < 振動遷移 < 回転遷移 の順である。
なお、並進エネルギーはエネルギー準位の間隔が狭いので、
量子化されていてもあたかも連続した値をとるようにみなされる。
電磁波のエネルギー,波長,振動数の関係については
下記のリンク先を参照
電磁波のエネルギー,波長,振動数の関係