融解熱・融点と溶解度の関係 91回薬剤師国家試験問19bc
91回薬剤師国家試験 問19bc
医薬品の溶解度に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。
ただしその溶解度と温度の関係はファントホッフの式に従うものとする。
b 融解熱が等しい化合物の場合、融点の高い化合物は低い化合物に比べてその溶解度が大きい。
c 融点が等しい化合物の場合、融解熱の大きい化合物ほどよく溶ける。
91回薬剤師国家試験 問19bc 解答解説
b × 融解熱が等しい化合物の場合、融点の高い化合物は低い化合物に比べてその溶解度が大きい。
→ 〇 融解熱が等しい化合物の場合、融点の高い化合物は低い化合物に比べてその溶解度が小さい。
c × 融点が等しい化合物の場合、融解熱の大きい化合物ほどよく溶ける。
溶解度Xと温度Tのファントホッフプロットの式について、
定圧条件下、仕事が体積変化に伴うもの(膨張・圧縮)に限られる場合、
エントロピー変化について、
儡 = 僣/T
である。
これより、融解エントロピー(儡融解)について、
儡融解 = 僣融解/T融点
である。
これをA式に代入すると、次のB式が成り立つ。
B式によると、
温度に対して溶解度Xの自然対数をプロットすると、
傾きが−凾g融解/R、
y切片が凾g融解/R・T融点
の直線が得られる。
★ 融解熱は等しいが、融点の異なる化合物の溶解度の比較
下の図に示す通り、
融解熱が等しい化合物の場合、
融点の高い化合物は、融点の低い化合物に比べ、
ファントホッフプロットのy切片が小さくなるので、
いずれの温度でもその溶解度は相対的に小さい。
★ 融点は等しいが、融解熱の異なる化合物の溶解度の比較