化学ポテンシャルとは? 簡単に説明 部分モルギブズ自由エネルギー 示強性状態関数
本ページでは、化学ポテンシャルの基本事項を簡単に説明しています。
☆ 化学ポテンシャルの概要
系のある成分iの化学ポテンシャルμ(ミュー)について、次式が成り立つ
Gは系のギブズ自由エネルギー、Niは成分iの物質の量、
添え字のPは定圧、添え字のTは定温、
添え字のNj(j≠i)はi以外の成分の量が一定であることを示す。
成分iの化学ポテンシャル(μi)は、圧力,温度,他成分の量を一定値とし、系のギブズ自由エネルギー(G)を成分iの物質の量(Ni)で偏微分したものである。
この式より、
化学ポテンシャルとは、定温,定圧,他成分の量が一定の条件における、ある成分iの単位量変化に対する系のギブズの自由エネルギーの変化量だといえる。
化学ポテンシャル(μi)は、定温,定圧,他成分の量が一定の条件における、ある成分iが単位量変化したとき、系のギブズの自由エネルギーがどれだけ変化するのかを示す。
単位量は1個であったり1molであったりする。
ある物質が1mol増えることに対する系のギブズの自由エネルギー変化量を部分モル自由エネルギーという。
よって、単位量を1molとするときの化学ポテンシャルは部分モル自由エネルギーに等しい。
化学ポテンシャルはある成分1mol当たりのギブズ自由エネルギー(モル自由エネルギー)と言われることがある。
この記述は、系によって当てはまる場合と当てはまらない場合がある。
当てはまる場合の一例として、系が一成分系の時(系が純物質の時)が挙げられる。
〇 モル自由エネルギーと部分モル自由エネルギーの違い
「モル自由エネルギー」と「部分モル自由エネルギー」は異なる。
「モル自由エネルギー」は、ある成分1mol当たりの自由エネルギーである。
「部分モル自由エネルギー」は、ある成分を1mol加えることに対する自由エネルギーの変化量である。
なお、一般に部分モル量とは、ある成分を1mol加えることに対する変化量である。
部分モル体積なら、ある成分を1mol加えることに対する体積の変化量である。
〇 化学ポテンシャルは示強性状態関数
ギブズ自由エネルギー(G)は示量性状態関数である。
しかし、化学ポテンシャルはギブズ自由エネルギー(G)を物質の量(N)で偏微分したものであり、単位量当たりという意味合いを帯びた値なので、示強性状態関数である。
〇 化学ポテンシャルと分圧,モル分率,濃度等との関係式
系の成分iの化学ポテンシャル(μi)と分圧,モル分率,濃度等との関係式として、次式が成り立つ。
μi = μ゜i + RTlnXi
Rは気体定数,Tは絶対温度
Xiは成分iの変数Xであり、変数Xは分圧(P),モル分率,濃度等の変数が入る。
μ゜iは成分iの標準化学ポテンシャルであり、標準圧力(1barまたは1atm),Xi=1における成分iの化学ポテンシャルという定数である。成分iの標準化学ポテンシャル(μ゜i)は、系によって様々な意味をもつ定数であり、系に合わせて意味づけをしなければならない。
〇 自発的な変化・平衡状態における化学ポテンシャル
自発的な変化では、化学ポテンシャルの高い方から低い方に向かって物質が移動・変化する。
自発的な変化では、化学ポテンシャルの高い成分の量は減り、低い成分の量が増えることになる。
物質の移動・変化に伴い、各成分の化学ポテンシャルは変化する。
各成分の化学ポテンシャルが等しくなる時、物質の移動・変化は見かけ上止まる。
平衡状態では、各成分の化学ポテンシャルは等しい。
★ 参考外部サイトリンク
Wikipediaさん 化学ポテンシャル