エントロピーの温度依存性 101回薬剤師国家試験問91
101回薬剤師国家試験 問91
下図は、ある純物質のエントロピーの温度依存性を示したグラフである。純物質の状態に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 物質の温度Tが0<T<T1の領域では、気体の状態にある。
2 物質の温度TがT1<T<T2の領域では、固体の状態にある。
3 温度ゼロにおけるエントロピー(S0)は、物質によっては負になる場合がある。
4 儡2・T2の大部分は、気化エンタルピーの変化量に由来する。
5 物質によらず、儡1・T1 < 儡2・T2の関係が成り立つ。
101回薬剤師国家試験 問91 解答解説
加熱により温度が上昇するに伴い、
分子や原子の熱運動が激しくなり、
乱雑さは増加するので、
エントロピー(S)は増加する。
◆ 1,2,4について
1 × 物質の温度Tが0<T<T1の領域では、気体の状態にある。
→ 〇 物質の温度Tが0<T<T1の領域では、固体の状態にある。
2 × 物質の温度TがT1<T<T2の領域では、固体の状態にある。
→ 〇 物質の温度TがT1<T<T2の領域では、液体の状態にある。
4 〇 儡2・T2の大部分は、気化エンタルピーの変化量に由来する。
詳細は下記のリンク先を参照
101回問91の1,2,4
◆ 5について
5 〇 物質によらず、儡1・T1 < 儡2・T2の関係が成り立つ。
凾r1・T1 = 僣融解
凾r2・T2 = 僣蒸発
である。
融解でも蒸発でも分子間相互作用の切断に熱が使われることになるが、
融解よりも蒸発の方が切断される分子間相互作用の数ははるかに多い。
よって、物質によらず、
僣融解<僣蒸発
である。
◆ 3について
3 × 温度ゼロにおけるエントロピー(S0)は、物質によっては負になる場合がある。
→ 〇 温度ゼロにおけるエントロピー(S0)は、物質によっては正になる場合がある。
熱力学第三法則によると、
純物質の完全結晶のエントロピーは、
絶対零度(0K)ではゼロである(T=0でS=0)。
しかし、絶対温度が0Kでもエントロピーが正になる場合があり(T=0でS>0)、
この時のエントロピーを残余エントロピーと呼ぶ。
熱力学第三法則については
下記のリンク先を参照
熱力学第三法則 98回問91の4
★ 他サイトさんの解説リンク
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