ギブズエネルギーの温度依存性 94回薬剤師国家試験問18bd

94回薬剤師国家試験 問18bd
ギブズエネルギーに関する記述の正誤を判定してみよう。

 

b ギブズエネルギーは、圧力一定の条件下では温度の上昇に伴って増加する。

 

d 純物質は、その沸点で液相と気相のモルギブズエネルギーが等しい。

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94回薬剤師国家試験 問18bd 解答解説

 

b 〇 ギブズエネルギーは、圧力一定の条件下では温度の上昇に伴って増加する。

 

d 〇 純物質は、その沸点で液相と気相のモルギブズエネルギーが等しい。
沸点では液相と気相の化学ポテンシャルが等しい。
純物質(一成分系)に限り、化学ポテンシャル=モルギブズエネルギーなので、
純物質は、その沸点で液相と気相のモルギブズエネルギーが等しいといえる。

 

 

★ ギブズエネルギー(G)の温度依存性

 

閉鎖系においては、
系のギブズエネルギー(G)の温度・圧力依存性について、
次式が成り立つ。

 

dG = V・dp − S・dT …@
(dは微小変化を表す)

 

dG:ギブズエネルギーの微小変化
V:体積  dp:圧力の微小変化
S:エントロピー  dT:温度の微小変化

 

定圧条件下では、dp=0であるので、

 

dG = −S・dT …A
となる。
A式より、
ギブズエネルギーは、圧力一定の条件下では温度の上昇に伴って増加するといえる。

 

A式を変形すると、次のB式となる。

 

ギブズエネルギーの温度依存性 94回問18bd

 

系が純物質(一成分系)の場合、
B式を1mol当たりの量で考えると、次のC式となる。

 

ギブズエネルギーの温度依存性 94回問18bd

 

系が純物質(一成分系)の場合に限り、
モルギブズエネルギー = 化学ポテンシャル(μ:ミュー)
であるので、C式より、次のD式が成り立つ。

 

ギブズエネルギーの温度依存性 94回問18bd

 

D式は
単位温度変化に対する化学ポテンシャルの変化は、
モルエントロピーに等しいことを示す。

 

下の図は、純物質(一成分系)における、
温度と化学ポテンシャル(純物質ならモルギブズエネルギー)の関係を示す。

 

系は化学ポテンシャルの小さい状態になろうとするので、
温度変化に伴い、グラフの実線に沿って物理的状態が変化する。

 

ギブズエネルギーの温度依存性 94回問18bd

 

なお、化学ポテンシャルは、本来、部分モルギブズエネルギーであることに注意する
(モルギブズエネルギーと部分モルギブズエネルギーは異なる)。
化学ポテンシャル = モルギブズエネルギー
が成り立つのは、系が純物質(一成分系)の場合に限定される。

 

化学ポテンシャルについては下記のリンク先を参照
化学プテンシャルとは

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