ルシャトリエの原理,ファントホッフプロット 97回薬剤師国家試験問92
97回薬剤師国家試験 問92
次の化学反応式に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 反応が平衡状態にあるとき、温度を低下させると反応は右方向に進行する。
2 反応が平衡状態にあるとき、圧力をかけると反応は左方向に進行する。
3 触媒の添加により、反応の生成エンタルピーを低下させることができる。
4 温度を変化させて、ファントホッフプロットを行うと、右上がりの直線性のプロットが得られる。
97回薬剤師国家試験 問92 解答解説
◆ 1について
1 〇 反応が平衡状態にあるとき、温度を低下させると反応は右方向に進行する。
系の状態変化とエンタルピー変化(僣)の符号の関係は下記の通り。
系のエネルギーが減少する場合(発熱):僣<0
系のエネルギーが増加する場合(吸熱):僣>0
設問の反応について、アンモニアの標準生成エンタルピー( H°)は負の値なので、
設問の可逆反応の正反応(右方向)は発熱反応であり、逆反応(左方向)は吸熱反応である。
よって、ルシャトリエの原理より、
この反応が平衡状態にあるとき、温度を低下させると、
熱を発生する方向の変化が進むため、
右方向の発熱反応が進む。
エンタルピーの詳細は下記のリンク先を参照
エンタルピーの定義と変化量の意味
◆ 2について
2 × 反応が平衡状態にあるとき、圧力をかけると反応は左方向に進行する。
→ ○ 反応が平衡状態にあるとき、圧力をかけると反応は右方向に進行する。
設問の可逆反応について、
右方向に進むと系の物質量は減少し、それに伴い圧力は減少する。
左方向に進むと系の物質量は増加し、それに伴い圧力は上昇する。
よって、ルシャトリエの原理より、
この反応が平衡状態にあるとき、圧力をかけると、
圧力を減少する方向の変化が進むため、
右方向の反応が進行する。
◆ 3について
3 × 触媒の添加により、反応の生成エンタルピーを低下させることができる。
触媒の添加により、活性化エネルギーを低下させ、反応速度を上げることはできるが、
反応の生成エンタルピーを低下させることはできない。
◆ 4について
4 〇 温度を変化させて、ファントホッフプロットを行うと、右上がりの直線性のプロットが得られる。
設問の正反応の標準エンタルピー変化(僣゜)は負の値であるため、
より、
1/Tに対してlnKをプロットすると、
右上がりの直線性のプロットが得られる。
ファントホッフプロットについては
下記のリンク先を参照
ファントホッフプロットとは
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