状態関数に関する記述 109回薬剤師国家試験問92

109回薬剤師国家試験 問92
状態関数に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 状態関数の変化量は系の変化の経路に依存する。
2 示量性状態関数においては加成性が成立する。
3 示強性状態関数は物質量に依存する。
4 体積は示量性状態関数である。
5 エントロピーは示強性状態関数である。

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109回薬剤師国家試験 問92 解答解説

 

◆ 1について
1 × 状態関数の変化量は系の変化の経路に依存する。
→ 〇 状態関数の変化量は系の変化の経路に依存しない。

 

状態関数とは、系の状態が定まると一義的に決まり、
その変化量は、系が変化する際の経路や過程に依存せず、
始状態と終状態のみによって決まる物理量である。

 

一方、経路関数である熱と仕事は、
系が変化する際の経路や過程によって値が異なる。

 

 

◆ 2,4について
2 〇 示量性状態関数においては加成性が成立する。
4 〇 体積は示量性状態関数である。

 

系の量や大きさを示す状態関数を示量性状態関数と呼ぶ。
示量性状態関数の値は、系の量や大きさに依存し、加成性を持つ(加成性を持つとは、数値の足し算ができるということ)。
示量性状態関数として、
体積,質量,物質量,内部エネルギー(U),エンタルピー(H),エントロピー(S),ギブズエネルギー(G)などがある。

 

 

◆ 3について
3 × 示強性状態関数は物質量に依存する。
→ 〇 示強性状態関数は物質量に依存しない。

 

系の強さを示す状態関数を示強性状態関数と呼ぶ。
示強性状態関数の値は、系の量や大きさに依存せず、加成性を持たない。
また、単位体積当たりの値,単位物質量当たりの値というように、単位〇〇当たりの〜として表される状態関数は、系の強さを表し、示強性状態関数に分類される。
示強性状態関数として、
温度,圧力,濃度,密度,化学ポテンシャル,
モルエンタルピー(1mol当たりのエンタルピー),
モルエントロピー(1mol当たりのエントロピー)などがある。

 

 

◆ 5について
5 × エントロピーは示強性状態関数である。
→ 〇 エントロピーは示量性状態関数である。

 

 

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