熱容量に関する記述 109回薬剤師国家試験問96
109回薬剤師国家試験 問96
熱容量に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
ただし、Vは体積、pは圧力、Tは絶対温度、Hはエンタルピー、Rは気体定数、
CVは定容熱容量、C V,mは定容モル熱容量、C p,mは定圧モル熱容量である。
1 モル熱容量は1molの物質の温度を1K上昇させるのに必要な熱である。
2 熱容量の単位はJ・K である。
3 CVは、CV = dH/dT により求められる。
4 理想気体では、CV,m < Cp,m である。
5 理想気体のCV,mは、(1/2)・Rである。
109回薬剤師国家試験 問96 解答解説
◆ 1,について
1 〇 モル熱容量は1molの物質の温度を1K上昇させるのに必要な熱である。
2 × 熱容量の単位はJ・Kである。
→ 〇 熱容量の単位はJ・K−1である。
熱容量とは、系または物質の温度を1K上昇させるのに必要な熱である。
モル熱容量とは、1molの物質の温度を1K上昇させるのに必要な熱である。
◆ 3について
3 × CVは、CV = dH/dT により求められる。
定容熱容量(CV)は、
CV = dU/dT により求められる。
(Uは内部エネルギー)
定圧熱容量(Cp)は、
Cp = dH/dT により求められる。
(Hはエンタルピー)
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定容熱容量と定圧熱容量の式 109回問96の3
◆ 4,5について
4 〇 理想気体では、CV,m < Cp,m である。
5 × 理想気体のC V,mは、(1/2)・Rである。
→ 〇 理想気体のC V,mは、(3/2)・Rである。
定容モル熱容量(C V,m)とは、定容条件下、1molの物質の温度を1K上昇させるのに必要な熱であり、次式で表される。
定圧モル熱容量(C p,m)とは、定圧条件下、1molの物質の温度を1K上昇させるのに必要な熱であり、次式で表される。
したがって、理想気体では、
定圧熱容量(Cp,m)は、定容熱容量(CV,m)より大きい。
これは、物質の温度を上げようとした場合、
定圧条件下では、定容条件下に比べて、より多くの熱エネルギーを加える必要があることを意味する。
この理由について、仕事が体積変化に伴う仕事に限られるとして説明する。
定容条件下では、系に熱エネルギーが与えられると、
そのエネルギーは全て内部エネルギーの増加分となる。
一方、定圧条件下では、系に熱エネルギーが与えられると、
そのエネルギーの一部は、系の膨張に伴う仕事に使われ、
それを差し引いた分が内部エネルギーの増加分となる。
そのため、物質の温度を上げようとした場合、
定圧条件下では、定容条件下に比べて、より多くの熱エネルギーが必要となる。
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