疎水性相互作用は発熱的?吸熱的? 105回薬剤師国家試験問98の3
105回薬剤師国家試験 問98の3
次の分子間相互作用の名称と特徴の組合せの正誤を判定してみよう。
3 疎水性相互作用:水中における疎水性分子同士の発熱的な相互作用で、相互作用エネルギーは分子間距離の6乗に反比例する。
105回薬剤師国家試験 問98の3 解答解説
3 × 疎水性相互作用:水中における疎水性分子同士の発熱的な相互作用で、相互作用エネルギーは分子間距離の6乗に反比例する。
疎水性相互作用は、疎水性分子表面からの水和水排除効果(エントロピー増大効果)が駆動力であるが、これは吸熱的な相互作用だと考えられている。
分子間相互作用に伴う発熱・吸熱については下記のリンク先を参照
東京大学大学院 津本研究室さんの記事
さらに、「疎水性相互作用の相互作用エネルギーが分子間距離の6乗に反比例する」という部分も誤りである。
疎水性相互作用は、疎水性分子表面の水分子の三次元構造の形成と破壊の結果、
疎水性分子同士が会合する現象であり、疎水性分子間に働く引力ではない。
なお、相互作用エネルギーが分子間距離の6乗に反比例する分子間相互作用として、
ファンデルワールス相互作用の引力が挙げられる。
関連問題
・疎水性相互作用の原動力は水構造の崩壊とエントロピーの増大 89回問17a