イオン間にはたらくクーロン力の特徴 106回薬剤師国家試験問5
第106回薬剤師国家試験 問5
イオン間にはたらくクーロン力の特徴として誤っているのはどれか。1つ選びなさい。
1 媒質の比誘電率に反比例する。
2 イオン間の距離に反比例する。
3 イオンのもつ電荷の大きさに比例する。
4 同じ符号の電荷をもつイオン間では斥力となる。
5 真空中で最も強くなる。
第106回薬剤師国家試験 問5 解答解説
誘電率εの媒質中において2つの電荷QとQ´が距離r 離れているとき、
この2つの電荷間に働くクーロン力(F)は次式で表される。
式より、クーロン力は、
電荷に比例し、
電荷間距離rの2乗に反比例し、
媒質の誘電率に反比例する。
以下、各選択肢の解説
◆ 1について
1 ○ 媒質の比誘電率に反比例する。
媒質の比誘電率(εr)とは、真空の誘電率(ε0)に対する媒質の誘電率(ε)である
クーロン力は媒質の誘電率(ε)に反比例するので、
クーロン力は媒質の比誘電率(εr)にも反比例する。
◆ 2について
2 × イオン間の距離に反比例する。
→ ○ イオン間の距離の2乗に反比例する。
クーロン力は電荷間距離rの2乗に反比例する。
◆ 3について
3 ○ イオンのもつ電荷の大きさに比例する。
クーロン力は電荷の大きさに比例する。
◆ 4について
4 ○ 同じ符号の電荷をもつイオン間では斥力となる。
クーロン力は、
異符号の電荷のイオン間では引力となり、
同符号の電荷のイオン間では斥力となる。
◆ 5について
5 ○ 真空中で最も強くなる。
クーロン力は媒質の誘電率に反比例する。
真空の誘電率は最も低いので、クーロン力は真空で最も強くなる。
★ クーロンポテンシャルエネルギー
クーロン力Fに基づく相互作用はクーロンポテンシャルエネルギーEで表される。
この場合のポテンシャルエネルギーは位置エネルギーのようなものである。
エネルギー = 力×距離 より、
クーロンポテンシャルエネルギー(E)は、クーロン力に電荷間距離rを掛けると求められる。
よって、クーロンポテンシャルエネルギー(E)について次式が成り立つ。
E = F × r
式より、クーロンポテンシャルエネルギーは、電荷に比例し、電荷間距離rに反比例し、媒質の誘電率に反比例する。
関連問題
・静電的相互作用によるポテンシャルエネルギーと距離 100回問91の2
・イオン間相互作用と媒質の誘電率 101回問94の4
★他サイトさんの解説へのリンク
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