疎水性相互作用はファンデルワールス相互作用により説明されない 100回薬剤師国家試験問91の5

第100回薬剤師国家試験 問91の5
次の分子間相互作用に関する記述の正誤を判定してみよう。

 

5 疎水性相互作用はファンデルワールス相互作用により説明される。

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100回薬剤師国家試験 問91の5 解答解説

 

5 × 疎水性相互作用はファンデルワールス相互作用により説明される。

 

疎水性相互作用はファンデルワールス相互作用のような引力によるものではなく、
疎水性分子周囲の水分子の水素結合網が再編成される結果であり、
,疎水性分子表面からの水和水排除効果(エントロピー増大効果)が原動力である。

 

疎水性の炭化水素基が水中に入ると、
水分子が炭化水素基を取り囲む規則正しい3次元のかご状構造を形成していく。
これは、熱力学的に、乱雑さが減少してエントロピーが減少する動きであり、
自発的な変化はエントロピーが増大する方向へ進むという熱力学第二法則に反するため、不安定である。
炭化水素基周囲の水分子のかご状構造が破壊されれば、
水分子の動きの自由度が上がることになるが、
これは、熱力学的に、乱雑さが増してエントロピーが増大し、安定となる変化である。
そのため、炭化水素基を取り巻く水分子のかご状構造を破壊すべく、
炭化水素基同士が会合し、
炭化水素基表面の水和水は排除され、エントロピーは増大する。

 

エントロピーと熱力学第二法則については
下記のリンク先を参照
エントロピーと熱力学第二法則 86回問20b

 

関連問題
・疎水性相互作用の原動力は水構造の崩壊とエントロピーの増大 89回問17a

 

・疎水性相互作用は発熱的?吸熱的? 105回問98の3

 

★参考外部サイトリンク
疎水性相互作用と電荷移動錯体(薬学生のノートまとめさん)

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