薬剤師国家試験過去問題集 DDSの総合問題

107回薬剤師国家試験問265 リバスチグミン経皮吸収型製剤の特徴

107回薬剤師国家試験 問265
リバスチグミン経皮吸収型製剤の特徴として、誤っているのはどれか。1つ選びなさい。
1 背部又は胸部に貼付したとき、リバスチグミンの吸収には貼付部位間で差が認められない。
2 繰り返し貼付することで血漿中濃度は定常状態に達する。
3 肝初回通過効果を受けない。
4 主たる吸収経路は、皮膚における汗腺や毛穴などの付属器官である。
5 急激な血漿中濃度の上昇が回避される。

トップページへ

 

薬剤師国家試験過去問題 科目別まとめ一覧 へ

 

薬剤師国家試験過去問題 DDSの総合問題 一覧へ

 

 

107回薬剤師国家試験 問265 解答解説

 

◆ 1について
1 ○ 背部又は胸部に貼付したとき、リバスチグミンの吸収には貼付部位間で差が認められない。

 

リバスチグミン経皮吸収型製剤を背部、上腕部、胸部に貼付したとき、リバスチグミンの吸収には貼付部位間で差が認められていない。

 

◆ 2について
2 ○ 繰り返し貼付することで血漿中濃度は定常状態に達する。

 

リバスチグミン経皮吸収型製剤を24時間毎に貼り替えることで、
血漿中リバスチグミン濃度は、投与開始3日で定常状態に達すると考えられている。

 

 

◆ 3について
3 ○ 肝初回通過効果を受けない。

 

皮膚の血管から吸収された薬物は、肝臓を通らずに全身循環血流に入るため、肝臓での初回通過効果を回避できる。

 

 

◆ 4について
4 × 主たる吸収経路は、皮膚における汗腺や毛穴などの付属器官である。

 

経皮吸収型製剤の薬物の主たる吸収経路は、
単純拡散により表皮から真皮に至り、真皮の毛細血管から全身循環血に移行する経路(皮膚透過経路)である。
皮膚透過経路以外に、毛嚢や皮脂腺・汗腺などの付属器官から吸収される経路もあるが、
付属器官は有効面積が小さいため、付属器官からの吸収の寄与は小さい。

 

 

◆ 5について
5 ○ 急激な血漿中濃度の上昇が回避される。

 

経皮吸収製剤は次のような利点がある。
・長時間、製剤から徐々に薬物が放出されるため、薬物の血中濃度が一定に維持され、薬効が持続する。また、ゆっくりと吸収されるため、血中濃度の急な立ち上がりによる副作用の発現を抑えられる。
・薬物は皮膚から直接全身循環に入るため、小腸や肝臓での初回通過効果を回避できる。
・副作用が現れた時、貼付剤を剥がせばすぐに薬物の放出を中断できる。
・経口投与で問題となる消化管への副作用を回避できる。
・貼るだけで投与できるので、小児や高齢者にも使いやすい。

 

関連問題
薬物の経皮吸収の総合問題 98回問167

 

 

★ 他サイトさんの解説リンク
107回問264,265(e-RECさん)

トップへ戻る