液体の水が気化する時のエントロピー変化 82回薬剤師国家試験問28a
82回薬剤師国家試験 問28a
水の性質に関する次の記述の正誤を判定してみよう。
a 液体の水が気化するとき、H2O 1mol当たりのエントロピーは増大する(儡>0)。
82回薬剤師国家試験 問28a 解答解説
a 〇 液体の水が気化するとき、H2O 1mol当たりのエントロピーは増大する(儡>0)。
エントロピー(S)とは、
系の乱雑さを定量的に表す熱力学量であり、
乱雑さが大きいほど、エントロピー(S)の値は大きい。
一般に、固体→液体→気体と物理的状態が変化するのに伴い、
分子間相互作用が切断されて分子の束縛は小さくなり、
系の乱雑さは増大し、エントロピー(S)は増大すると考えられる。
物質の物理的状態の変化に伴うエントロピー変化(儡)は、
エントロピー変化(儡)の定義式から、
次のように考えることもできる。
エントロピーの変化量(儡)は次式で定義される。
@式が適応できるのは、原則として、
系に出入りする熱(q)が可逆過程による場合に限られるので注意。
物質の物理的状態が変化する転移点(融点・沸点)では、
温度・圧力一定で、
可逆的に系に熱が出入りしている状態であり、
先ほどの@式が成り立つ状態である。
よって、
相転移に伴うエントロピー変化(転移エントロピー:儡 転移)は、
次のA式で表される。
仕事が体積変化に伴う仕事(膨張・圧縮)に限られる場合、
定圧条件下で系に出入りする熱(q p)は、エンタルピー変化(僣)に等しい。
よって、
転移エントロピー(儡 転移)について次のB式が成り立つ。
液体の水が気化(蒸発)するとき、B式において、
凾g 転移=僣 蒸発>0であるので、
儡 蒸発>0となる。