平衡状態のエンタルピー・エントロピー・ギブズエネルギー 88回薬剤師国家試験問17c
88回薬剤師国家試験 問17c
化合物の物性に関する記述の正誤を判定してみよう。
c 0℃、1気圧での氷と水の平衡状態において、氷は水に比べてエンタルピー的に安定であるがエントロピー的には水の方が安定であるため、両者はGibbs自由エネルギーの変化量がゼロの状態でつり合っている。
88回薬剤師国家試験 問17c 解答解説
c 〇 0℃、1気圧での氷と水の平衡状態において、氷は水に比べてエンタルピー的に安定であるがエントロピー的には水の方が安定であるため、両者はGibbs自由エネルギーの変化量がゼロの状態でつり合っている。
熱力学的な安定性について、
エンタルピー(H)が小さくなるほど安定であり、
エントロピー(S)が大きくなるほど安定である。
液体の水から氷への変化は発熱反応であり、エンタルピー変化(僣)は負の値であるので、
液体の水よりも氷の方がエンタルピーは小さい。
よって、氷は液体の水に比べてエンタルピー的に安定である。
エントロピー(S)とは、
系の乱雑さを定量的に表す熱力学量であり、
乱雑さが大きいほど、エントロピー(S)の値は大きい。
一般に、固体→液体→気体と物理的状態が変化するのに伴い、
分子間相互作用が切断されて分子の束縛は小さくなり、
系の乱雑さは増大し、エントロピー(S)は増大すると考えられる。
よって、液体の水は氷に比べてエントロピー的には安定である。
自発的な変化は系のギブズエネルギーが減少する方向(僭<0の方向)へ進み、
平衡状態では系のギブズエネルギーは一定となる(僭=0)。
氷と水の平衡状態において、
両者はGibbs自由エネルギーの変化量がゼロの状態でつり合っている。