クラペイロン式と蒸発・沸点，昇華 98回薬剤師国家試験問93の2，3
98回薬剤師国家試験 問93の2，3
式は、相転移温度と圧力の関係を表したクラペイロンの式である。
相転移に関する記述の正誤を判定してみよう。
2 純物質は、圧力が高くなると沸点が上昇する。
3 純物質の状態図における昇華曲線の傾きは負となる。
98回薬剤師国家試験 問93の2，3 解答解説
2 〇 純物質は、圧力が高くなると沸点が上昇する。
3 × 純物質の状態図における昇華曲線の傾きは負となる。
→ 〇 純物質の状態図における昇華曲線の傾きは正となる。
横軸に温度、縦軸に圧力をとった一成分系（純物質）の状態図において、
融解曲線・蒸発曲線・昇華曲線の傾きはdp/dTであり、
下記のクラペイロン式が成り立つ。
★ 蒸発とクラペイロン式
クラペイロン式について、蒸発では、
⊿trs H = ⊿蒸発H
⊿trs V = Vm気－Ｖm液
となる。
液体が気体に変わる蒸発では吸熱が起こるので、
蒸発エンタルピーは正の値である（⊿蒸発H＞0）。
全ての純物質においては、
気体のモル体積は液体のモル体積よりも大きく、
Vm気－Ｖm液＞0
である。
よって、純物質では、蒸発について、
蒸発のクラペイロン式より、
dp/dT＞0となり、
状態図の蒸発曲線の傾きは正（右上がり）となる。
よって、純物質は、
圧力が高くなると沸点が上昇する。
★ 昇華とクラペイロン式
クラペイロン式について、
固体が気体になる昇華では、
⊿trs H = ⊿昇華H
⊿trs V = Vm気－Ｖm固
となる。
固体が気体に変わる昇華では吸熱が起こるので、
昇華エンタルピーは正の値である（⊿昇華H＞0）。
全ての純物質においては、
気体のモル体積は固体のモル体積よりも大きく、
Vm気－Ｖm固＞0
である。
よって、純物質では、
固体が気体に変わる昇華について、
昇華のクラペイロン式より、
dp/dT＞0となり、
状態図の昇華曲線の傾きは正（右上がり）となる。
