融解曲線が負の勾配を示すことと氷が水に浮くこととの関係 90回薬剤師国家試験問18de
90回薬剤師国家試験 問18de
水の相平衡図(模式図)に関する記述の正誤を判定してみよう。
d 水と平衡状態にある氷に圧力をかけると融解する。
e TC曲線が負の勾配を示すことと氷が水に浮くこととは関係がある。
90回薬剤師国家試験 問18de 解答解説
d 〇 水と平衡状態にある氷に圧力をかけると融解する。
e 〇 TC曲線が負の勾配を示すことと氷が水に浮くこととは関係がある。
氷が水に浮くのは、
氷の密度は水の密度よりも小さいからであるが、
それは氷のモル体積は水のモル体積よりも大きいともいえる。
このことが、融解曲線TCの傾きが負であることとどう関係するのかを説明する。
横軸に温度、縦軸に圧力をとった一成分系(純物質)の状態図において、
融解曲線・蒸発曲線・昇華曲線の傾きはdp/dTであり、
下記のクラペイロン式が成り立つ。
クラペイロン式について、融解では、
trs H = 融解H
trs V = Vm液−Vm固
となる。
水は特殊であり、
液体のモル体積は固体のモル体積よりも小さく、
Vm液−Vm固<0
である。
よって、純水では、融解について、
融解のクラペイロン式より、
dp/dT<0となり、
状態図の融解曲線の傾きは負(右下がり)となる。
水の状態図における融解曲線(TA)の傾きは負(右下がり)であるので、
固体と液体が共存する状態(融解曲線TA上の状態)から圧力をかけると、
固体は液体へと変化する。
したがって、水と平衡状態にある氷に圧力をかけると融解するといえる。