化合物の物性に関する記述 88回薬剤師国家試験問17
88回薬剤師国家試験 問17
化合物の物性に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。
a 過冷却現象とは、冷却している液体試料の結晶が析出する際に見られる現象で、冷却温度が急激に降下する特徴を示す。
b 純物質の融点と凝固点は共に固相と液相との平衡状態での転移温度を示し、本質的には同一の値を示し、圧力に依存しない。
c 0℃、1気圧での氷と水の平衡状態において、氷は水に比べてエンタルピー的に安定であるがエントロピー的には水の方が安定であるため、両者はGibbs自由エネルギーの変化量がゼロの状態でつり合っている。
d 結晶性の薬品の中に不純物が混在すると凝固点は低下する。
e 等方性物質の第1の媒質から第2の媒質に光が入るとき、入射角iの正弦と屈折角rの正弦との比nは屈折率とよばれ、その値が1より大きい場合は、入射角度によっては全反射が起こりうる。
88回薬剤師国家試験 問17 解答解説
◆ aについて
a × 過冷却現象とは、冷却している液体試料の結晶が析出する際に見られる現象で、冷却温度が急激に降下する特徴を示す。
→ 〇 過冷却現象とは、冷却している液体試料の結晶が析出する際に見られる現象で、温度が急激に上昇する特徴を示す。
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過冷却について 88回問17a
◆ bについて
b × 純物質の融点と凝固点は共に固相と液相との平衡状態での転移温度を示し、本質的には同一の値を示し、圧力に依存しない。
→ 〇 純物質の融点と凝固点は共に固相と液相との平衡状態での転移温度を示し、本質的には同一の値を示し、圧力に依存する。
◆ cについて
c 〇 0℃、1気圧での氷と水の平衡状態において、氷は水に比べてエンタルピー的に安定であるがエントロピー的には水の方が安定であるため、両者はGibbs自由エネルギーの変化量がゼロの状態でつり合っている。
◆ dについて
d 〇 結晶性の薬品の中に不純物が混在すると凝固点は低下する。
溶媒に不揮発性溶質が溶解することにより、
溶液の沸点上昇、凝固点降下、蒸気圧降下、浸透圧上昇が起こる。
これを溶液の束一的性質と呼ぶ。
◆ eについて
e × 等方性物質の第1の媒質から第2の媒質に光が入るとき、入射角iの正弦と屈折角rの正弦との比nは屈折率とよばれ、その値が1より大きい場合は、入射角度によっては全反射が起こりうる。
→ 〇 屈折率の値が1より小さい場合、入射角度によっては全反射が起こりうる。
光が屈折率の大きい媒質から小さい媒質に入る場合、
光の入射角よりも屈折角の方が大きくなり、
屈折率の値は1より小さくなる。
屈折率の値が1より小さい場合、入射角が臨界角より大きいと、
光は媒質の境界面で全反射する。