過冷却の水が氷へ相変化するとき化学ポテンシャルは低下 84回薬剤師国家試験問16a
84回薬剤師国家試験 問16a
水の性質に関する次の記述の正誤を判定してみよう。
a 過冷却の状態にある水が同温度の氷へ相変化するとき、化学ポテンシャルは低下する。
84回薬剤師国家試験 問16a 解答解説
a 〇 過冷却の状態にある水が同温度の氷へ相変化するとき、化学ポテンシャルは低下する。
化学ポテンシャルの定義は下記のリンク先を参照
化学ポテンシャルの定義 105回問5
一般に、系はその温度でモルギブズエネルギーの最も小さい安定な相(安定相)になろうとするが、
物質を冷却させて相転移点より低い温度になってもモルギブズエネルギーの最も小さい相にならず、
熱力学的に不安定な相(準安定相)のままでいることがある。この現象を過冷却と呼ぶ。
系が純水の場合、液体の水を冷却させて温度を凝固点以下にすると、
通常なら、モルギブズエネルギーの最も小さい氷に相転移するが、
準安定相の液体の水のままでいることがある。
この過冷却の状態にある水に何らかの刺激が加わると、安定相の氷に相転移するが、
その時、モルギブズエネルギーは低下することになる。
なお、純物質(一成分系)に限り、
モルギブズエネルギー(Gm) = 化学ポテンシャル(μ)
が成り立つので、
設問の「過冷却の状態にある水が同温度の氷へ相変化するとき、化学ポテンシャルは低下する」という記述は正しい。
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