共融混合物の相図 86回薬剤師国家試験問171

86回薬剤師国家試験 問171
下記の相図(融点図)に示すように、液体状態では完全に混和するが、固体状態では混ざり合わないA、B2種の物質がある。A、Bの融点はそれぞれTa、Tbであり、また組成比4:6で共融混合物を形成する。
図に示すように、A、Bを7:3で混合し、温度T1で加熱し完全に融解させた後、温度T2まで冷却し、平衡状態とした。このときの状態に関する記述のうち正しいものはどれか。

 

共融混合物の相図 86回薬剤師国家試験問171

 

1 液体状態のAの中に共融混合物が析出している。
2 液体状態のBの中に共融混合物が析出している。
3 固体Aと、A:B= 1:1の組成からなる溶液が共存する。
4 固体Bと、A:B= 1:1の組成からなる溶液が共存する。
5 固体Aと、A:B= 7:3の組成からなる溶液が共存する。
6 固体Bと、A:B= 7:3の組成からなる溶液が共存する。

トップページへ

 

薬剤師国家試験過去問題 科目別まとめ一覧 へ

 

薬剤師国家試験過去問題集 相平衡 一覧へ

 

 

86回薬剤師国家試験 問171 解答解説

 

正解は3の「固体Aと、A:B= 1:1の組成からなる溶液が共存する」である。

 

設問で示された点(AとBを7:3で混合して温度T2まで冷却)をP点とすると、
P点はAの固相とAとBの混合溶液の液相の二相が共存する領域内にある。
液相の組成を調べるには、P点から連結線を引き、共存曲線との交点の組成を見れば良い。
そうすると、P点の液相のAの質量分率は0.5だとわかる。
よって、P点の液相は、A:B= 1:1の組成からなる溶液である。

 

共融混合物の相図 86回薬剤師国家試験問171

 

なお、図の共融点は、AとBの溶液の液相,Aの固相,Bの固相の三相が共存する。
共融点の混合物を共融混合物と呼ぶ。
共融混合物では、異なる2つの成分がそれぞれ結晶格子を形成し、それらが不均一に存在しており、
これを共晶と呼ぶ。
また、共晶のうち、1つの成分が水の場合を氷晶と呼ぶ。

トップへ戻る