ミセル動電クロマトグラフィーの原理と中性物質の分離 100回薬剤師国家試験問98の3

100回薬剤師国家試験 問98の3
キャピラリー電気泳動に関する次の記述を判定してみよう。

 

3 ミセル動電クロマトグラフィーでは、泳動液にイオン性界面活性剤を添加することで、中性物質の分離が達成される。

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100回薬剤師国家試験 問98の3 解答解説

 

3 〇 ミセル動電クロマトグラフィーでは、泳動液にイオン性界面活性剤を添加することで、中性物質の分離が達成される。

 

 

ミセル動電クロマトグラフィーは、
SDS等のイオン性界面活性剤を臨界ミセル濃度以上含む泳動液を用いる電気泳動法であり、
イオン性物質のみならず、電気的に中性な物質も相互分離可能という特徴がある。

 

ミセルは界面活性剤が疎水性のアルキル基を内側に向けて集まっているので、
疎水性が高い溶質ほどミセル内部に取り込まれやすい。
電気的に中性な物質同士でもミセルに取り込まれる程度(分配比)に差があることから分離は可能である。
液体クロマトグラフィーの視点では、
ミセルが逆相系の固定相として働くので、
逆相分配クロマトグラフィーとみなせる。

 

フューズドシリカ製(溶融シリカ)キャピラリーを用いた電気泳動では、電気浸透流が生じて、泳動液全体が陰極へと移動する。
ミセルの外側は硫酸基などの酸性解離基がプロトンを解離して陰イオンとなり負電荷を帯びるので、
ミセルに対しては陽極方向への引力が働く。
疎水性が高く(極性が低く)ミセル内に取り込まれやすい成分ほど、
陰極方向への電気浸透流の中で、
ミセル外側の負電荷に対する陽極方向への引力が働くので、
保持時間が長く、遅く溶出することになる。
一方、疎水性が低く(極性が高く)ミセル内に取り込まれにくい成分ほど、
保持時間は短く、速く溶出することになる。

 

★ 参考外部サイトリンク
動電クロマトグラフィー(大塚電子株式会社さん)

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